NW型RTK測量における「直接法」 ― 現地観測と厳密網平均による信頼性確保 ―
【はじめに】
山林内での建築や開発において、技術者を悩ませるのが「視通(見通し)の悪さ」と「現況把握の難しさ」です。
特に地目変更に伴う現況調査や、完成した建物の配置確認において、トータルステーションを据え替えて回るのは非効率極まりません。ここで威力を発揮するのが、精度の高い**「14条地図」の座標データと、ソフトバンクグループのインフラを活用した「ALES(アレス)方式」のGNSS観測です。
測量法上の「公共測量」とは異なる、実務現場での「迅速かつ正確な位置特定」**への活用法を解説します。
1.「14条地図」の座標を現地で具現化する
山林において、14条地図(不動産登記法第14条第1項地図)が整備されている意味は極めて大きいです。
この地図は国家座標に基づいているため、境界や筆の形状が「数値」として確定しています。
この座標値をGNSS機器に投入し、現地でそのポイントへ誘導(ナビゲーション)する際、ALES方式によるセンチメートル級の測位が、山林特有の「迷い」を打ち消します。
2.ALES方式が配置確認の「機動力」を最大化する
ALES株式会社(2018年設立)のネットワーク型RTKは、独自基準局(ソフトバンク基地局)を利用する仕組みです。
配置確認のスピードアップ: 国土地理院の基準点を使用しないため、登記申請のための「公式な測量成果」にはなりませんが、**「設計図通りの位置に建物が配置されているか」**を確認する実務においては最強のツールとなります。
視通不要のメリット: 生い茂る木々の中でトータルステーションを使うには伐採が必要ですが、ALES方式なら上空さえ開けていれば、受信機一台で建物の角や造成範囲の座標を即座に取得・確認できます。
3.地目変更に向けた「現況把握」の精度向上
地目変更の判断(山林から宅地・雑種地等)には、実際にどの範囲がどのように利用されているかの正確な把握が欠かせません。
現況ラインの特定: 14条地図の筆界座標を確認しながら、実際に造成された範囲や建物の位置をALES方式でプロット。
地目境の判定: 座標データに基づき、地目の変更範囲を明確に特定。これにより、法務局への地目変更申請における図面作成の根拠が極めて強固になります。
手戻りの防止: 建築中や完了後の配置確認を迅速に行うことで、図面と現地の乖離を早期に発見。設計通りの施工が行われていることを数値で証明できます。
【まとめ:実務のポイント】
公式な境界確定や登記測量には、測量法に則った手法(電子基準点等を利用した観測)が必要です。しかし、その前段階である**「建物の配置確認」や「地目変更のための現況調査」**においては、ALES方式の圧倒的なスピードと手軽さがコストパフォーマンスを最大化させます。
14条地図という「確かな座標」を、ALESという「軽快なツール」で現地に再現する。このハイブリッドな手法こそが、現代の山林業務におけるスマートな正解と言えるでしょう。



