実家の土地を守るために──世界測地系2024と“未来に残る測量”の話

疋田敬之

疋田敬之

テーマ:土地 建物 測量 相続

年末年始になると、
久しぶりに実家へ帰ったり、家族で集まったり、
ふと「うちの土地ってどうなってるんだろう」と考える瞬間がありませんか。
境界のこと、古い図面のこと、
親が元気なうちに確認しておきたいこと──
そういう話題が出るのは、この時期ならではです。
私は長く測量の仕事をしてきましたが、
境界というのは“今だけ”のものではなく、
未来の家族が困らないための大切な記録だと感じています。

■ 世界測地系2024という新しい基準
2024年から、土地の測量は新しい基準に移行しました。
難しい話に聞こえるかもしれませんが、要するに
「これからの測量は、将来もズレないように統一しましょう」
という考え方です。
昔の測量は、場所ごとにバラバラの基準で測っていた時代もありました。
でも今は、地震や災害があっても、
同じ場所を同じように再現できる測量が求められています。

■ GNSS測量:空からの信号で位置を決める時代
昔は、図根点を探したり、多角測量でつないだり、
時間をかけて基準を作る必要がありました。
今はGNSS(衛星測位)のおかげで、
正確な位置を短時間で把握できる時代になりました。
ただ便利なだけではなく、
「将来もう一度測ったときに同じ場所が出る」
という安心につながります。

■ LiDAR SLAM:見えない場所も“そのまま残す”技術
草が伸びていたり、木が茂っていたり、
境界の周りが見えにくいことはよくあります。
LiDAR SLAMという技術は、
そうした場所を立体的に記録してくれるので、
境界の根拠を未来に残すことができます。
「今は見えないけれど、データとして残しておく」
そんな使い方ができるのが、この技術の強みです。

■ 3Dで残すという安心
GNSSやLiDARで得たデータは、
3Dとして保存できます。
境界の周りの地形や状況を立体で残しておくと、
10年後、20年後に見返したとき、
「あの時はこうだったんだ」とすぐに分かる。
家族が代替わりしても、
土地の記憶が失われないようにするための大切な記録です。

■ 年末年始に土地のことを考える理由
実家に帰ると、
古い図面が出てきたり、
親が「そろそろ境界をはっきりさせておきたい」と言い出したり、
そんなことがよくあります。
境界は、
**“気になった時が動くタイミング”**です。
世界測地系2024になった今は、
測り直すにも良い時期です。

■ まとめ:境界は“未来の家族への贈り物”
測量は難しい技術の話ではなく、
家族の安心を未来に残すための作業です。
世界測地系2024、GNSS、LiDAR SLAM、3D記録──
これらはすべて、
「未来の誰が見ても分かる境界」を残すための道具です。
お正月に実家へ帰って、
土地のことが少し気になった方へ。
今のうちに、未来の安心を整えておくのもひとつの選択です。

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疋田敬之
専門家

疋田敬之(土地家屋調査士)

土地家屋調査士 疋田敬之事務所

衛星及び電子基準点を使用したネットワーク型RTK-GNSS測量で引照点観測をした世界座標による地積測量図を作成することにより何世代を経過しても安心して境界杭を維持管理できるデータを提供します

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