実家の土地を守るために──世界測地系2024と“未来に残る測量”の話

境界線を赤く描いた画像は、衛星写真ではありません。LiDAR SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)によって取得した高密度な点群データをもとに生成した、現地の空間を忠実に再現した3D記録です。しかし、この技術の真価は、単に3Dで記録することではありません。
最大のポイントは、この点群データを「世界測地系(JGD2011など)」と厳密に紐づけていることです。
世界測地系に基づく座標は、国土地理院の基準点やGNSS測位と整合するため、位置情報が全国共通の基準で扱えるようになります。これにより、現地では目に見えない境界線を、空間上に正確に「可視化」することが可能になります。
• 地面に杭が残っていなくても
• 境界標が埋没していても
• 立会い時に境界が分かりにくくても
世界測地系に紐づいた3Dデータなら、境界の位置を誤差の少ない形で再現し、誰でも視覚的に確認できるようになります。
世界測地系 × LiDAR SLAM がもたらす空間理解
世界測地系で統一された点群データは、従来の平面図では伝わりにくかった空間的な情報を直感的に把握する助けになります。
• 建物の高さや屋根の傾斜
• 畑の植生の密度や区画
• 水路や地形の微妙な高低差
• 境界線と周囲の構造物との位置関係
これらが、世界測地系の座標上で一体的に扱えるため、説明の説得力が大きく向上します。
縦断図・横断図の作成にも直結する
世界測地系に基づく点群データは、縦断図・横断図の作成にもそのまま活用できます。
• 縦断図:境界線に沿った高低差や地形の変化を正確に表現できます
• 横断図:境界を横切る断面を描き、隣接地との関係性を明確にできます
GNSSやTSによる補正と組み合わせることで、法的にも技術的にも再現性の高い成果物となり、将来の再検証にも耐えるデータとなります。
世界測地系がもたらす「再現性」と「信頼」
境界は時に争いの火種となります。しかし、世界測地系に基づくデータで境界を可視化することで、説明責任と合意形成の基盤をしっかりと築くことができます。
世界測地系は、単なる座標系ではなく、境界の再現性と信頼性を支える“共通言語”です。
LiDAR SLAMと組み合わせることで、境界の「線」から「空間」へ、そして「未来に残せる記録」へと進化していきます。



