NW型RTK測量における「直接法」 ― 現地観測と厳密網平均による信頼性確保 ―

昨日、基準点測量としてスタティック観測を実施しました。
地上反射によるマルチパスの影響を避けるため、アンテナ高は地上から約2.2mに設定し、観測時間は2時間。
観測データは現場から持ち帰り、後解析により処理を行いました。後解析は10分程度で終了。新点の座標を取得できます。
さっそく午後には、同現場に戻り、得られた基準点をもとに逆打ちによる現地確認を行ったところ、
地中に埋設された旧境界標、空木、たま椿の根元など、視認が困難な位置にある標識を5箇所以上確認することができました。
これらはいずれも、
「事前に位置のあたりを付けていなければ、偶然見つかるものではない」
対象です。
GNSSによるスタティック観測は、
単に座標値を得るための手法ではなく、
現地を再発見するための基盤をつくる作業だと考えています。
短時間のRTK観測や、その場限りの整合だけでは、
・地中にある標識
・樹木や構造物に隠れた痕跡
・過去の測量成果との位置関係
を、十分な精度で裏付けることは難しいことです。
一方で、
適切なアンテナ高を確保し、
十分な観測時間を取り、
後解析を前提としたスタティック観測を行うことで、
「現地に本来存在しているはずのもの」を、
理屈と数値をもって探し当てることができます。
測量とは、
目に見えるものを測る作業ではなく、
土地の履歴を掘り起こす作業です。
その意味で、スタティック観測は、
精度の良い作業を行うための手段というだけでなく、
現地と向き合うための、極めて実務的で有効な方法です。
安価で精密な測量機器が手に入り、コントローラー用のソフトも無料です。
解析ソフトも無料で利用できます。証明書の印刷などは5万円のライセンス料で使用できます。
GNSS観測を行うことは非常に有意義です。RWPは2台揃えても20万円程度です。
別途電池を揃えても1万円程度でライセンス代を支払っても25万円程度でスタティック観測を開始できます。
仮に逆打ちだけであれば、ALESと契約すれば月3,000円で使い放題ですし、ネットワーク型RTK観測を行うにはJENOBAとの契約で従量制であれば、3,000円から利用しても20,000円以内程度です。
https://www.bizstation.jp/ja/drogger/rtk_package_index.html?tab=rwp
使い方はビズステーションや桜町測量さんのHPを見ればわかると思います。
https://sakura.3ku.jp/gnss/droggergps-ready1/
現地との整合性の確認には
小野先生により開発された最小二乗法による境界復元が非常に役に立ちます。
これは無料で公開しています。開業してから20年以上になると思いますが、ずっと参考にさせていただいています。
https://onoo.o.oo7.jp/
当事務所では1年以上前から
境界線の可視化のためにTREND POINTとLiDARSLAMを導入して3D測量も行っています。
あたかも現実の現場に見えないはずの境界線を書いて表現することができます。
現場にGCPとして3点以上通常は4点以上世界測地系座標を配置して
検証点を複数配置、対空標識を設置して世界測地系座標をもたせる。
観測を行って現場の位置を最後に閉じてLidARSLAMに認識させてから
解析して、世界測地系座標で展開、検証点で精度の確認をします。
これは実は世界測地系座標に紐づけしないとできないことです。
TREND POINT
https://const.fukuicompu.co.jp/lp/point12/index.html
SLAM100
https://apex.tokyo/slam100/



