**任意座標で測量を行う人がいますが、私はその方法を選びません。 理由は、任意座標では現地を正しく押さえることができないからです。**

疋田敬之

疋田敬之

テーマ:土地 建物 測量 相続

GNSS測量や短縮スタティック法が普及した今でも、
「任意座標で十分だ」という考え方は残っています。
しかし任意座標は、現場の中だけで数字が合えば成立してしまうため、
基準が曖昧になり、位置関係を正確に押さえることが難しくなります。
私は、測量の精度と整合性を確保するために、
可能な限り既知点を基準にした座標で観測を行います。

既知点を基準にできない現場もありますが、考え方は変わりません。
山間部や建物が密集した場所など、
GNSSの電波受信状況が安定しない現場もあります。
そのような場合は、既知点をそのまま使えないこともあります。
ただ、そこで「任意座標で済ませる」という判断にはなりません。
状況に応じて手法は変わっても、
現地を正しく押さえるための座標をどう確保するか
という考え方は変わらないからです。

短縮スタティック法を使うかどうかも、この考え方で決まります。
短縮スタティック法は便利な手法ですが、
手法そのものが目的ではありません。
私が判断基準にしているのは、
「この手法で現地を正しく押さえられるかどうか」
という一点です。
• 既知点が使えるか
• 現場環境が観測に適しているか
• 規定を守って精度が確保できるか
これらを満たして初めて、短縮スタティック法を選択します。

任意座標を使う人との違いは、最初の一手です。
任意座標を使う人は、
「現場の中で合えばよい」という前提で測量を始めます。
私は、
「現地を正しく押さえるために、どこを基準にするか」
を最初に決めます。
既知点が使える現場でも、使えない現場でも、
この最初の一手が測量全体の質を左右します。

そして、その測量成果は“お客様の土地の未来を支える資料”になります。
境界は一度決まれば、
相続・売買・建築・近隣調整など、
何十年にもわたって使われ続けます。
だからこそ、
現地を正しく押さえた座標で測ることは、
お客様の土地の将来に対する安心そのものです。
任意座標では、その安心を保証できません。
私は、後から誰が見ても意味が通り、
将来の手続きにも耐えられる測量成果を残したいと考えています。

**結論:私は任意座標を使いません。
理由は、現地を正しく押さえ、その成果が未来まで役立つ資料になるからです。**
測量は今日だけの作業ではありません。
お客様の土地の未来を支えるための基礎づくりです。
そのために、
任意座標ではなく、根拠のある座標で測る。
これが私の測量です。

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疋田敬之
専門家

疋田敬之(土地家屋調査士)

土地家屋調査士 疋田敬之事務所

衛星及び電子基準点を使用したネットワーク型RTK-GNSS測量で引照点観測をした世界座標による地積測量図を作成することにより何世代を経過しても安心して境界杭を維持管理できるデータを提供します

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