現場の環境を、設計卓で検討する時代へ― デスクトップ測量による配置・土量・構造物検討のDX ―
1. BIM時代に求められる「周辺環境の精度」
建築設計におけるBIM(Building Information Modeling)は、建物単体のモデルだけでなく、敷地や周辺環境を正確に反映することが重要になっています。
従来は図面や写真で補足していた外部環境も、点群データを活用することで「三次元の現況」として設計モデルに統合できるようになりました。
2. 点群データとE57形式の役割
• LAS形式は測量現場で広く使われる標準フォーマットですが、建築BIMソフトでは直接扱いにくい場合があります。
• E57形式は国際標準化された点群フォーマットで、座標系や色情報などを保持でき、主要なBIMソフト(Revit, Archicad, GLOOBE Architectなど)で利用可能です。
• 調査士や測量業者が LAS→E57変換 を行うことで、設計者は周辺環境をスムーズにBIMに取り込めます。
3. 実務フローのイメージ
1. 現場測量
GNSSやLiDARで敷地・周辺環境を点群として取得(LAS形式)。
2. 点群処理
TREND-POINTなどでノイズ除去・座標統一 → E57形式に変換。
3. BIM統合
設計者がBIMソフトにE57点群を読み込み、建物モデルと重ね合わせ。
4. 成果物
• 周辺環境を反映した設計モデル
• 増改築やリノベーション設計に活用可能
• 施工計画や竣工後の出来形チェックにも利用できる
4. 提供価値
• 設計者にとってのメリット
• 敷地や既存建物の現況を正確に反映できる
• 設計の精度と効率が向上する
• 周辺環境を含めたBIMモデルで、施工や維持管理の計画が立てやすくなる
• 調査士・測量業者の役割
• 点群を整備してE57形式で提供することで、設計者が安心して活用できる環境を整える
• 単なる測量成果物ではなく、設計の精度を高める技術的データ提供者として新しい立ち位置を築ける
まとめ
建築BIMの実施において、周辺環境をE57点群データとして提供することは、設計の精度を高め、施工や維持管理においても有効な情報基盤を作ることにつながります。
調査士や測量業者がLAS→E57変換を担い、設計者に周辺環境データを渡すことで、建築設計はより現実に即したものとなり、効率的で信頼性の高いBIM運用が可能になります。



