登記多角点と当事務所の測量のちがい― 三次元厳密網平均計算による整合性の確保 ―

登記測量では、法務局に提出する図面作成に「登記多角点」という方式が使われています。
これは制度上認められた測量方法ですが、実際には簡易的な精度確認にとどまる処理であり、
現地の整合性や再現性を厳密に検証しているわけではありません。

登記多角点では、作業後に「誤差が許容範囲にあるか」を確認するだけで、
どの方向にどの程度のズレがあるかまでは解析しません。
そのため、形式上は正しい測量でも、現地との位置関係にわずかな差が残ることがあります。

■ 当事務所の測量方針

当事務所では、登記制度の基準を超えた精度を確保するために、
GNSS衛星観測データを三次元厳密網平均計算で解析しています。

複数の観測点を“網”のように関連づけ、
全体のバランスを取りながら誤差を平均化し、
最も整合性の取れた基準点を確立します。

■ 境界点の解析にも整合処理を実施

基準点の整合性を確認したあと、
境界点の観測データについてもヘルマート変換やアフィン変換といった数学的処理を行い、
既存の地積測量図や管理資料とのズレや傾向を解析します。

この処理により、単に座標を求めるだけでなく、
現地の状況や過去の測量成果との位置的な関係を数値的に調整・再現することが可能になります。

■ 結果として

・現地の杭や既存資料とのズレを数値で評価できる
・再測しても同じ位置を再現できる
・境界の位置を「理論的に説明できる測量成果」として提示できる

■ まとめ

登記多角点は制度上の最低基準であり、現地整合の解析までは行っていません。

当事務所では、三次元厳密網平均計算に加え、
ヘルマート変換・アフィン変換による整合解析を行うことで、
現地と電子基準点の両方に適合した精度の高い測量成果を提供しています。

さらに、LiDAR SLAM技術による点群データを活用し、
現地の環境と境界線を三次元で可視化（見える化）することで、
説得力のある説明資料を作成しています。

■土地家屋調査士　疋田敬之事務所
GNSS測位・スタティック観測・点群解析を活用し、
境界の「見える化」と整合性検証を行っています。