地目変更登記という「仕上げ仕事」──転用後の土地に、法的な整合性を

疋田敬之

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テーマ:土地 建物 測量 相続

土地の用途が変わるとき、現地の風景は大きく変わります。田んぼだった場所に住宅が建ち、畑だった土地が駐車場として舗装される。そんな変化は、地域の暮らしの中で日常的に起こっています。

しかし、現地の様子が変わっても、登記簿の記載がそのままでは、土地の法的な扱いは変わりません。登記簿上の「地目」が、実際の利用状況と一致していないと、売却や相続、融資などの場面で思わぬ支障が生じることがあります。
そこで必要になるのが「地目変更登記」です。これは、土地の利用目的が変わったときに、登記簿上の地目を現況に合わせて変更する手続きです。たとえば、農地に住宅を建てた場合は「宅地」へ、畑を駐車場として舗装した場合は「雑種地」へと変更することになります。

この登記は、土地の所有者に申請義務があり、利用目的が変わった日から一定期間内に行う必要があります。申請を怠ると、登記簿と現況の不一致が続き、後々の手続きで説明や証明が必要になることも。また、場合によっては行政からの指導や過料の対象となる可能性もあります。

実務では、まず現地の状況を確認し、写真や図面を用意します。必要に応じて測量を行い、登記申請書とともに法務局へ提出します。最近ではオンライン申請も普及しており、効率的な対応が可能になっています。

地目変更登記は、土地の変化に対する「法的な仕上げ」と言えるでしょう。転用後の土地に対して、登記簿という公的記録を整えることで、所有者の権利が明確になり、第三者との取引も円滑になります。

土地家屋調査士としては、こうした登記の必要性をクライアントに丁寧に説明し、現況との整合性を保つことが信頼につながります。登記簿と現地が一致していること──それは、土地に対する責任と誠実さの証でもあります。

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疋田敬之(土地家屋調査士)

土地家屋調査士 疋田敬之事務所

衛星及び電子基準点を使用したネットワーク型RTK-GNSS測量で引照点観測をした世界座標による地積測量図を作成することにより何世代を経過しても安心して境界杭を維持管理できるデータを提供します

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