地目変更登記にみる制度の壁と専門職の責任―農地から非農地への現況変更と、登記実務の実情

疋田敬之

疋田敬之

テーマ:土地 建物 測量 相続

土地の登記において「現況に合った地目にする」というのは、ごく当たり前の考えに思えます。
しかし、農地に関する地目変更登記では、現況が明らかに農地ではないにもかかわらず、変更がスムーズに認められないケースが少なくありません。

たとえば、農地として使われなくなってから20年以上が経ち、現在は倉庫や資材置場、あるいは宅地として事実上利用されている場合。
それでも、登記簿上は「畑」や「田」のままであり、変更登記を申請しても「農地法の許可がない」「非農地証明がない」などの理由で却下・補正を求められる場面があります。

■ 上申書の限界と登記官の運用の実態
登記官からは「上申書を出してください」と指示されることがありますが、実務上この上申書には法的な証明力はなく、最終的には「これは証明資料にはなりません」と判断されることもあります。
こうした運用は、形式だけを重視し、登記制度の本来の目的である「現況反映」から逸脱していると感じざるを得ません。

私自身、過去に詳細な資料を作成し、航空写真・課税資料・地元の利用履歴などをもとに、法的根拠と現況を丁寧に構成して申請した結果、一切の照会なく登記が完了したケースがあります。
これは、登記官との協議や上申に依存せず、事実と法理に基づいた申請が登記実務上成立しうることを示した一例です。

一方で、登記官の中には申請人や代理人に対して不適切な言動を行う者もいます。私自身、「お前がなぜ土地家屋調査士に受かっているのか」といった侮辱的な発言を受けた経験がありますが、こうした姿勢は公的機関の信頼を損なうものです。

■ 士業が果たすべき本来の役割とは
私たち土地家屋調査士の仕事は、単に登記申請を代行することではありません。
現場を調査し、事実を明確にし、正確な登記を実現することで、市民の権利や取引の安全を守る役割があります。

そのためには、行政との「妥協」よりも、法と事実に基づく正しい申請を通す専門職としての判断力と責任感が求められます。
形式や慣例に流されることなく、必要な調査・資料収集・法的構成を整えたうえで、堂々と申請する姿勢が重要です。

登記制度の信頼は、行政の都合や感情ではなく、現況と法令に忠実な申請によって担保されるべきものです。

農地の地目変更、こうしたケースに対応しています
当事務所では、以下のような地目変更に関するご相談を数多く受けております。

農地を20年以上使っていないが、登記が変わっていない

倉庫や資材置場になっているのに地目が「田・畑」のまま

非農地証明が出ないと言われたが、登記を現況に合わせたい

農地法の許可が取れないまま地目変更できるか知りたい

これらのケースでは、現地調査・課税資料・航空写真・近隣状況の整理などを組み合わせ、行政との対話に頼らず、実体と法に即した構成で申請を行うことが可能です。
登記官との交渉や照会への対応も含めて、登記完了まで責任を持ってサポートいたします。

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疋田敬之(土地家屋調査士)

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衛星及び電子基準点を使用したネットワーク型RTK-GNSS測量で引照点観測をした世界座標による地積測量図を作成することにより何世代を経過しても安心して境界杭を維持管理できるデータを提供します

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