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忘れたって

坂部智子

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自転車が無い。
乗ろうと思ったら、駐輪場に無いのだ。
これは、モチロン盗難などではなく、以前のように、どっかに起き忘れてきたのにきまっている。
しかし、前いつ乗ったっけ?と、すぐには思い出せないほどに日が経っているようだ。
とにかく心当たりを探しに行って・・・→ 無事に見つけマシタ。
こんな時、馬鹿マジメに路駐ではなく、ちゃんとに一時貸しのとこに停めてあるので、しっかり課金され、なんと6日分2700円を支払うハメになった・・・
Ha~
またまた今日は、その一時貸し置き場で開錠する際に、隣の自転車の番号を入れてしまって100円も払った。自分の番号は、時間的にまだ無料だったのに・・・
相変わらず、こんなことは日常茶飯事。


先日訪問したAさん(70代女性 要支援1、独居)
最近体調を崩して、近所に住む娘さんが食事の支度に毎日来てくれているそう。
それはありがたいが、来る度に「昨日の晩は何食べた?」ときくのだという。
オカズを思いだして答えるが、一皿、二皿ぐらいは、何やったかな~?とあやふやなこともある。そうすると、「しっかり思いださな、ボケるで!!」と言われるそう。
昨日も思いだせなくて、「何食べた?」としつこくきいてくるので、腹が立って、
「アンタが作ったのに、何作ったんかわからんのか~!!」と言うてやってん・・・と笑ってはる。「娘はプーとふくれとったわ」・・・やって。

親子関係はいいので、こんなやり取りがあっても特に心配は無い。
それでも、やっぱり、“忘れていることをわざわざ指摘され”て、“思いだすよう強要される”のは、イヤだとおっしゃる。
「そのうち歳いったら、わかるわ」言うたった・・・そう。

思い出せなくても思いだそうとすることが大事 だとか、
記憶を活性化させる周りの関わり だとか、
カラダを動かすのと同時に頭を働かせるのがいい だとか、
おそらく何らかの根拠で“正しい”のだろうけれど、
でもなぁ、なんだかなぁ・・・
本人が、楽しく取り組められるのならばいいのだろう。
でも、嫌々させられても、ねぇ

そうならないとわからないことが、たくさんある。
あらゆることで。
「私たちは、わからないことをわからないままに、語り過ぎているのではないか」
(最近何かで読んで、ココロにひっかかっているフレーズ)

Aさんは、「ボケたら、毎日おんなじモンたべてもいいやんなぁ」
と笑ってはる。
ほんとにわからなくなったら、どうするのか、
そんなことは、今はわからない。
わからなくていいのだと思った。

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