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坂部智子

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いつもの週末なら、母は夕方帰ってきて、午前中に小規模多機能施設に戻る。
それが今週は、どうしても都合がつかなくて、母には今日の朝から帰って来てもらって、夕方にまた戻ることにしてもらった。
一週間に一度の帰宅なのに、さらにわずかな時間で…

せめてその時間、ずっとそばで過ごした。
せなあかんコトはイロイロある。
家計簿つけ。ちょっと静かになると、母はすぐ目を閉じる。小銭をテーブルに…出すつもりがばらまいてしまった…ら、音した方をばっと見た…
さすが。

お昼ごはんは焼きそば。
横の椅子に座って、切る。
チラチラ見てる。
テーブルの真ん中にホットプレートを置いて、焼く。
(手は届かんとこ)
焼ける音、匂い…
あっ、もう口を開けてる。
ごはんができていく「過程」を味わうのは、やっぱり家ならではなんかな。

家に居たら、フツーのこと。
この家の、台所の、いつもの食卓、いつもの場所で。
ごはんを食べて、オヤツも食べて、いつもなら、そろそろ三線ライブ…の時間になって、玄関に、お迎えの車が来た。
手を引いて「よいよいよい〜」と歩く。
「よいよい…」と母も言う。
玄関に向かう。
「よいよい……イヤイヤ…」
えっ?いや?
「おりたい」
居りたい?
確かにそう聞こえた。

そうやね、おりたいんや。家に…
涙が出た。

ゴメンね、ごめん…
こっちの都合だけで動いてる。
「おりたい…」
母は全部わかってる。

ごめんなさい…
今日のこと、忘れないよ。
涙が出る。

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