聞き入れる魔法
本日訪問のAさん(80代男性、要介護3、立ち上がり、歩行が困難)
浴室の様子を見せていただいたところ、シャワー椅子がずいぶん低い。
座面高さが37cmだった。
身長は約165cm。
日中よく座っておられる食堂の椅子は、高さ45cmほど。
それでも、食卓を支えて立ち上がっておられる。
シャワー椅子からの立ち上がりがしんどくないか尋ねたところ、
その返答の代わりに、「屈んで洗面器を使うのにはこの高さでないと・・・」と
おっしゃる。なるほど・・・
洗い場床に置いた洗面器で顔を洗ったり、タオルをゆすぐのには、
確かに椅子が高くなるとできない。
洗面器を何か“台”にのせて高くできないか・・・と思ったけれど、
水道の蛇口自体が低いので、お湯を汲むにも不便。
提案としては、手元スイッチのあるシャワーヘッドに替えて、
洗面器への給湯をシャワーで行う。
シャワー椅子を立ち上がりやすい高さにまで上げて、
その状態で屈んで動作がしやすい高さに何か台を置いて洗面器をのせる。
動作がしづらいことよりも、し慣れたコトを変えるのがイヤなAさんらしいので、
奥様が、「しばらく様子を見ながら、いよいよしづらくなったら変えてみます・・・」
とのことでした。
そこはもう、Aさんの希望に添うしかないのだけれど、
くれぐれも無理のないように、お伝えした。
改めて、『お風呂は、どこよりも“快適な環境”である必要がある!』と、
声を大にして言いたい。
リラックス空間という意味だけではなく、
入浴というのは、相当に体力を使い、疲れる行為。
しかも、裸であり、濡れた床面など、安全面でも危険度が高い。
少なくとも、“リハビリの要素”(あえて言うなら、しづらいことを無理して頑張るという意味)を入浴にだけは、取り入れてほしくないと思っている。
介護環境を見直す上で、何より気を配りたいトコロなのである。