ふがいない
本日訪問のAさん(92歳、女性、要介護2)
お部屋のあちこちに カゴが置いてあって、
中にはぐるぐる巻かれたちぢれた毛糸?の玉がたくさん。
長年着込んだ手編みのセーターも、既製品のセーターも、
穴が開いたり、着なくなったら ほどいて玉にする。
およそ“糸”で出来ているものは、まず全てほどくらしい。
最近は、あまり糸が細いと疲れるから、何本かを合わせて編むの・・・
横着になってね~~と笑いはる。
“布モノ”は、サイズをそろえて切って、
繕い用の当て布にしたり、
汚れたところを拭いてほかすのに使ったり・・・
未だかつて、衣類としての役割を終えたものを、
そのままほかしたことは無いという。
ずっと一人暮らしで、定年まで働いて、それからさらに10年、
70歳まで働いていたそう。
その超多忙な いわゆるワーキングウーマン時代からずっと
そうやって、布や毛糸を大切に扱ってきてはる。
お金がなかったから
誰でも当たり前にしていたこと
自分で作ったら、一番体に合うから
さすがに90歳超えてからは、ちょっと目が疲れるけどね・・・
それでも手が覚えているから、まだ できなくなったことはない
転倒による骨折で、歩行はおぼつかないので、ヘルパーさんに買い物を頼んでいる。
室内は歩行器で移動しながら、調理は自分でする。
食べることが好き。
日が暮れて、手作業がしづらくなると針を置いて
ちょっとの晩酌が 何より楽しみ。
よく聞かれるけど、さみしいと思ったことは無い。
したいことも、することもたくさんあって、それが出来ることがうれしい。
今日できたことを喜んで、明日することを楽しみに。
いつまで一人でできるか~なんて、わからんことは、考えない。
そうしてきたら、この歳になってた
ありがたいわね~
にこやかに、一つひとつの言葉をゆっくりと 話してくださった。
ずっと、その間も 針を持つ手が動いている。
素敵なAさんの暮らしぶり でした。