一緒やったら
90歳になるお母さん(要介護4)の介護を一人でされているAさん(女性、60代)。
介護が必要になって、まもなく7年になるという。
永年住み慣れた古い一戸建て。
朝晩の清拭、尿漏れの始末、着替え・・・洗濯機は休むことがないくらい。
お母さんが寝ている部屋から、洗濯機置き場までは遠い。(離れ?のようなところ)
お茶・・・と言われて取りに行く台所は、一番奥。
さらに物干し場は、2階の端っこ。
一日中の、上がり下りを含めた移動距離は相当なものと思われる。
お母さんが呼んでも聞こえなかったり、すぐに行けなかったりすることも多く、
後からご機嫌をとるのにとても時間がかかる・・・・こともある。
尿漏れの改善、防水シーツの活用・・・部屋の模様替え(住宅改修は拒みはる・・・)
介護サービスの導入(訪問介護も利用していない)・・・
少しでも、Aさんの負担が少なくなるように、効率代よく動けるように
なにかいい方法はないか・・・といろいろ考えていると、
「このままでいい」とおっしゃる。
介護を受けているご本人が「このままでいい」とおっしゃることは、よくある。
変えたくなかったり、“おっくう”であったり、理由は様々だ。
Aさんにお話しを伺うと、
お母さんも、この環境で、お舅さんとお姑さんと夫の介護をし、きちんと見送ったそう。
介護保険もまだなくて、介護用品もあまりなく、おむつの性能も悪かった中で
ほんとに見事なまでに献身的な介護をされていたそう。
これだけ、制度や用具が改善されているのに、「しんどい」なんて口が裂けても言えない・・・・
母に見られているように、試されているようにずっと感じている・・・とおっしゃる。
お母さんの認知症も進んでいるので、Aさんをチェックすることなどもうできないし、
そんな娘の姿を見たいか見たくないか・・・ほんとのところはもうわからない。
けれど、Aさんはそう思っている。
共倒れになったら大変・・・ということと、
その労力を違うことに(もっとお母さんに寄り添うことに)使う・・・という方法もある
ということを伝えた・・・
今は、伝えることしか、できなかった。
介護に正解はない。
サポート体制が不十分で、機能していないケースもあれば、
(正しく現状を把握してもらえていない・・・ともいう)
Aさんのように、介護する側の“強固な意志”で選択されていくケースもある。
好きでするんやったら しゃあないなあ・・・ではなくて、
より細心の注意と、適切な距離での見守りと、
必要な情報提供と、サポートする側の連携をしっかりとっていく。
かなりな「要注意ケース」デス。