邪道でも
介護保険で 電動車いすの利用を希望されたAさん。
80代男性 独居 要支援2(主治医の意見書、担当者会議開催により例外使用許可)
目的は、近所への通院などの外出を一人で安全に行う為。
“電動車いすを使う”までに いろいろな壁にぶち当たる。
まずは、機種を選定するに当たって、重要なのが、置き場所。
Aさん宅のマンション管理規定により、通路などに一切私物を置くことができないので
玄関内に入らないといけない。
・・・・ということで、車いす型のを選定。
いわゆる電動4輪車というような、カートタイプのだと、
普通サイズの玄関内には、置けない。(約長さ120cm、幅60~70cmほどある)
外に置く場合は、駐輪場の空きがあり、なおかつ、充電するためのコードが
届くか・・・といったことが問題になる。
車いす型を選んだので、バッテリーを抜いて、折りたためば
普通の車いすとほぼ同じサイズ(幅30cm)ぐらいになるので、
なんとか玄関の通路も確保できた。
車いすを広げて、ドアを開けて、外に出る・・・というのも何度も練習がいる。
次に、エレベーター。
運よくエレベーター停止階だったので、よかったけれど
そうでなければ、使用をあきらめないといけない。
(というより、外出そのものが、一人ではまずできないことになる。
そのために閉じこもりになるケース、やむを得ず引越するケースなど、多々。)
古いマンションらしく、操作ボタンが立位の高さにしかない。
間口、奥行きともせまいのでドア幅にきっちりと合わせてまっすぐに入らないと、当たる。
(他の人が乗っていたら、同乗できないので、見送ることにもなる)
ドア開閉時間の延長ができない。
そのため、負担は大きいけれど
エレベーターの手前で車いすから降り、操作レバーを手動に切り替えて、
車いすを自分で押して、乗り込むことになった。
降りるときは、(スペース上、中で方向転換ができないので)後ろ向きに出るという
高度な歩行技術がいるが・・・
(それだけ歩けたら、車いす いらんやん・・・・というレベル)
数歩のことなので、なんとか、手押しでがんばるというAさん。
なんとかエレベーターから出て、よっこらとまた、車いすに乗りこんだ。
少し進むとさらに、マンション正面出入口に段差。
横にスロープがつけてあるけれど 急こう配。
電動車いすの許容範囲は7度。どうみても、20度はある・・・
やむを得ず遠回りになるけれど、裏口に回る。
普段は、締切になっている外開き戸がある。
押してあけるのに一苦労。
間口ギリギリ。
手動のまま、車いすと出入口幅をぴたりと合わせて、電動に切り替えて進む。
(手動だと、手が挟まる)
出てすぐに段差。スロープのこう配は、表よりはゆるやか。
坂を下り、どうにか表に到着。
すでに Aさんヘトヘト。
慣れるしかない・・・
何度も練習する・・・とのことで、しばらくデモ貸出することになりました。
これでもまだ、Aさんの生活環境は、比較的恵まれているほう・・・と言える。
「一人で安全に外出する」ということは、
なんてハードルが高い望みなんやろうか・・・・
玄関から車道まで、一人で安全に出ることができるか
一度 自宅を、周りを 見回してみてほしい。
我が家も、一人で安全には、決して出られない家です。
絶対、近いうちに困るし・・・・