香りの記憶
私が入院中に 連れて行ってもらった、“小さな旅”のご紹介です。
入院して、3か月目ぐらい、
順調に回復して、最初にリハビリで少し歩けるようになりかけた時、
気分転換に、病院から出てみようと 研修医の先生達が
上の先生(指導医?)に頼み込んで 外出許可をもらってくれた。
行き先は、あんまりはっきり覚えていないけれど、
たしか、車で橋を渡って ポーアイ辺りまで ドライブに連れて行ってくれたっけ。
リハビリ室の平行棒の中しか歩けなかったのに、
服を着替えて(スカートをはいて) 街に出たら、
ゆっくりとでも しっかり歩きたい と はりきった。
病院に戻った時、
仲良しの看護助手さん達が「なんてまあ~顔色がいい~」と驚いてくれたのを覚えている。
(たしか 後は2日ほど寝込んだけど・・・・)
まだほんの3か月だったけど、
病院の中にずっといて、久しぶりに出た“外の世界”は、
とてもきらきらとまぶしく見えた。
この場所での フツーの暮らしに、また手が届くところに来たと思えた。
ここから 予想外の長期入院となったのですが、
いつも心が閉じこもらず、風が吹きぬけて居れたのは、
最初の、この小さな旅のお陰やと 改めて思います。
一患者、病人としてでなく、(研修医の先生たちと)歳の近い
22歳の娘(当時は)として、一緒に過ごしてくれたことが とってもうれしかったんでした。