整然とした
香りの記憶
庭の沈丁花が 花盛りだ。
この季節になって花が咲いたら思い出す香り。
秋の金木犀も。
(金木犀はいろんな人工の香りも出回っているから
季節を問わず日常的にかぐこともあるけれど)
まだうんと小さい子供のころに住んでいた家にも沈丁花があった。
母に叱られると よく、庭に閉め出された(ほりだされた かな???)。
お隣と庭続きの家で ちょうど境あたりに たしか沈丁花があった。
泣き虫で しょっちゅう叱られて 出された。
あんまり覚えていないけれど まわりが言うには、
かなりちゃっかり者だっらしく、
どのあたりで泣いたら お隣に泣き声が聞こえるか計算ずくで
その沈丁花の陰にしゃがんで泣きだしていたらしい。
しばらく泣いているとお隣のおじちゃんが 出て来てくれる。
(しくしく泣きだしたら すぐに飛び出そうとするおじちゃんを
いっつもおばちゃんが、まだ早いッ!と引っつかんで止めていたそう。)
遠い記憶の おじちゃんの 「あ~あ~ よしよし・・・はいはい」という声が
沈丁花の香りに乗って 聞こえるきがする。
甘やかされていた 遠い記憶。