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つらぬいて

坂部智子

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テーマ:仕事のはなし


お客様(Aさんとしておこう)が亡くなられた。
何度かこのコラムにも登場していただいていた。
(ありそうでない椅子の話や、寝れる車いすを探した話で・・・)

容態は ずっと よくなくて、先週、緊急入院されたけれど、
木曜日の夜から どうしても家に帰りたいと言い出したそう。
医療ケア的には ありえない状況。
けれど、ケアマネジャーや、長年支えてこられたヘルパーさんたちが
Aさんが意志をつらぬくことをサポートすると決めた。
連絡をもらって金曜日、ベッドとエアマットの手配がなんとか間に合い、
ようやく夕方、お家に戻ってこられた。
馴染みのお部屋に組み立てたベッドに横たわり、
「背中が痛い、さすって! もっと上、ちがう下・・・いたたっ・・・そうそう・・・」と
声は弱々しいけれど、いつものように あれこれ言ってた。
ホントに帰ってこれて良かったね~ と、居合わせた人達と 笑い合った。
サイドテーブルの交換依頼を受けて、じゃあまた~と言って別れた。

日付が変わって間もなく 亡くなられたそう。

昨日お葬式だった。

お一人暮らしだった。
在宅生活を全介助で支えられていた。
遺品からケアマネが探し出してなんとか連絡がついた、遠い親戚がお1人と、
後は 在宅生活を支えた、心から悼む人達が集まった。
ケアマネ、担当のヘルパーさん達・・・
どの方も、関わる中でバトルを繰り返し、泣かされ、ぶち切れ、勘弁してくれと何度思ったか・・・と話されている。
辞めた人も辞めさした人も数え切れないと聞いている。
けれど、それでも、一人で生きていくためのAさんのこだわり。
『あそこまでいったら』という域に達して、本当に、腹をくくって関わる人が残った。

お花が好きやったというAさん。
たくさんのお花に囲まれて、集まった タフで熱い、まさに戦友達に見送られた。 

つらぬいた 生き様を 深く残して。

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