難解な相続問題(不動産の共有と相続登記の放置)
「終活」という言葉が使われて久しいですが、言葉として浸透している割には実践している人は、まだまだ少ないような気がします。
終活のお話をさせていただくとき、「まだ元気だから大丈夫!」とおっしゃる方が少なからずいらっしゃいます。
本当にそうでしょうか?
終活を始めるタイミング
終活を意識された時こそ、終活をすべきタイミングではないでしょうか?。
とはいえ、「具体的に、いつが良いの?」と思われるかもしれません。
ひとつの目安として、70歳前後の方は、終活を検討したほうが良いと思われます。
まだ元気だから大丈夫!に潜む危険
結論から言うと、終活としてできることは、「元気な時」にしかができません。
「まだ元気だから大丈夫!」は、問題を先延ばしていることと同じです。
あるいは、「限界まで頑張りたい(から終活しない)」は、そもそも終活の目的を取り違えています。
そのため、タイミングを逃してしまうことになるでしょう。
いよいよ弱ってきたので終活を始めようと考えたときに、意識は明瞭のままでしょうか?
例えば、家族信託や任意後見を検討しようとしたとします。
これらは、一般的には難しい契約になります。
弱った状態で、難しい判断をすることはできるでしょうか?
別の例で、たとえば、不動産を売却して、ご自身や配偶者の施設入所費用などに充てたい、と考えたとします。
もし所有者本人が認知症で判断能力が低下していたら、不動産の売買のような重要な契約はできなくなります。
その他にも理由はありますが、弱った状態では終活はできる状態ではなくなります。
先延ばしにすればするほど、どんどん選択肢が狭まっていき、ご自身やご家族の考えた方法ができなくなります。
何事にも事前準備が大切!
旅行に行くときに、多くの方は事前に準備をすることでしょう。
終活も同じです。
終活は将来に向けての事前準備です。
事前準備をしっかりして、ご自身のために、ご家族のために、安心して過ごしていただきたいものです。
何かあれば、やり直したら良い
最初から完璧なものを作り上げる必要はありません。
反対に申し上げると、完璧にはできることは、ほぼ不可能です。
また、時間の経過とともに、置かれた状況や考え方も変わるかもしれません。
そのような変化に合わせて、やり直すこともできます。
やり直しができるのも、元気なうちに限られます。
まずはスタートさせてから、あとから調整をする、というくらい気軽に始めていただくのが良いのかもしれません。
まとめ
終活について考えると、どうしても自分の死を考えることになります。
内心では、死を意識したくない、というのが本音であるのかもしれません。
しかし、終活は、死後の対策のことばかりではありません。
生前、つまり、これから先の人生の方向性について考えることも含まれます。
特に、認知症対策は重要な課題です。
認知症対策をしておかなければ、ご自身だけでなく、大切なご家族にも苦労をかけることになります。
終活について、少しでも意識された方は、ご自身のためにも、ご家族のためにも、一度ご検討いただければと思います。