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コラム

HACCAPに対応した包丁の衛生管理をどうしたらいいのか

2020年4月10日 公開 / 2020年5月6日更新

テーマ:包丁

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: 働き方改革業務効率化 ツール

 長年、この業界で商売をしておりますが、お客様のニーズも時代毎に変化しています。
今回は、「衛生管理」の観点から、食品を扱う皆様のお役に少しでも立てればと思い、
このコラムを書きました。ぜひ、ご参考にして頂けたらと思います。

1.食品業界を取り巻く衛生環境(HACCAP対応)

 このコラムを読んでくださっている方なら、もうご存じかと思いますが、2018年6月に食品衛生法が改正され、2020年6月からHACCP基準による衛生管理が導入されます。これからどう対応をしようかと悩まれている方も多いのではないでしょうか。
「HACCP用として購入した包丁でのお悩み事の事例」
錆びる鋼の包丁使ったらダメ!とか柄が木のものはダメ!との誤解から、こんなお悩みをよく聞きます。
・HACCP対応包丁のうたい文句で、プラ柄の包丁を買ったが、切れ味が長持ちしない…作業効率が落ちた…
・ステン柄の包丁は、値段が高いのに、切れない…冬の寒い朝は冷たくて困る…
・水産加工向けの特殊な包丁には、樹脂柄の包丁が選べない…マグロ切りやサケ切りなどの大型の
 包丁は、どうしたらいいのか…
・食肉加工用向けの長い牛刀や、骨スキ包丁には、樹脂柄の包丁が選べない
・料理店なので、お客様から包丁が見えてもプラの柄とわからない和包丁はないのか・・・etc

そんなお悩みをお持ちのお客様へ、堺正元刃物店では、和包丁・洋包丁でも、またどんな種類の鋼からでもHACCAP対応衛生樹脂柄を選べるようにラインナップを揃えました。「切れ味の長もちする包丁で、衛生面を考慮した柄を使った包丁が欲しい」というお客様のご要望にお応えします。
包丁選びと効率的な管理方法の提案をさせて頂きますが、まずその前にHAPPACについてです。

2.そもそもHACCPでいう包丁の衛生管理とは

(1)HACCPとは

食品を扱う事業者が、食中毒を起こす菌の汚染や異物混入などの恐れがあるもの(危害要因「ハザード」)を把握したうえで、原材料の仕入れから、加工、出荷のすべての工程の中で、それらの要因を取り除くために、工程を管理し、食品の安全性を確保することを目的とした手法で、アメリカのNASAで「宇宙食」の安全管理のために開発された衛生管理手法です。

(2)食品の調理加工の工程で包丁を使うときの危害要因とは

危害要因(ハザード)とは・微生物系・硬質異物系・化学物質系です
包丁でこれに該当することは、 
・微生物系・・・・・細菌、ウイルス、寄生虫などが、調理加工の工程で、生肉や生魚介類などを
          切った包丁から、ほかの食品に微生物の汚染が広がる可能性があります
・硬質異物系・・・・包丁の欠けた破片や錆びなどが食品に混ざる恐れがあります。
・化学物質系・・・・包丁を洗う洗剤などが食品に混じってしまう恐れがあります

これらの危害要因を調理加工工程で食品から避けるようにすることで、「食品の安全を保つことができる」と考えられます。つまり、この工程の中に3つの危害要因(微生物系、硬質異物系、化学物質系)のどれもが入らないように管理することが、HACCPの目的であると言えます。

(3)各々の危害要因に対する対策は

・微生物系   調理加工の際に、生肉や生魚介類などからほかの食品に微生物の汚染(交差
       汚染)を防ぐために、包丁を肉や魚などの用途別に分け、それらを扱った都度、
       十分洗浄し、消毒することです。
        和包丁はそもそも食材に応じて包丁が異なりますが、牛刀は、形が同じなので
       1本の包丁を食材の種類が変わるごとに消毒するよりは、食材ごとに包丁を分ける
       ほうが管理はしやすいです。ステン柄の包丁では、区別がつきにくいので、柄を
       色分けし、さらに包丁自身にも食材を明示しているほうが、間違いが起こりにくい
       です。

・硬質異物系  包丁が欠けていないか。包丁に錆が発生していないか。包丁の点検のタイミング
       は、使用前、使用中(例えば1時間ごとや、食材が変わるときとか)、使用後に
       チェックすることです。
       業務用のステンレス系の包丁でも、酸や、塩分の強い食材を切ってそのまま置いて
       おくと、うっすら茶色く錆がつくことがあります。それは包丁の素材に炭素系が
       含まれているからです。

・化学系    包丁を洗浄・消毒した洗剤などが残らないようにしっかり洗浄することです。

 以上の対策を守っていくことで、錆びる鋼の包丁や木の柄を使えます。ただ、対策ができていないと、木の柄は臭い、腐る、腐食する、カビが発生しやすいなどの恐れはあります。また対策ができていないと、ステン系包丁でステン柄・プラ柄の包丁を使ってもダメです。

 そこで堺正元刃物店が提案させていただくのが「調理加工工程の作業とHACCAP管理をもっと効率的に行う方法」です。
1.包丁を柄から選ぶのでなく、切れ味を左右する鋼から選んで、HACCP対応衛生柄をつける包丁
  選び。
2.除菌さび止め剤のラップラクンを併用する

これにより、錆びる鋼の包丁でもきっちり衛生管理ができます。ステン系の包丁なら、さらに
管理がしやすくなります。
以下の章で詳しくご説明します。

3.HACCP対応包丁選びのご提案

(1)市販のHACCP対応包丁の現状

 柄が木はダメのように書いているガイド本もあり、ステン柄やプラ柄から包丁を選んでいま
せんか?錆びる包丁よりもステンレス系がいいと選んでいませんか?
その2点で探しても、市販では和包丁も、洋包丁もモリブデンかそれ以下の素材のものしか
見当たらないと思います。切れ味もあまり長持ちせず家庭用レベルのものが大半です。
その理由は、まだHACCP対応で切れ味まで求める需要が少ないからです。

(2)包丁選びの考え方

 調理の効率は包丁選びからといっても過言ではありません。
HACCPでは、錆びる包丁がだめとか、木の柄はダメとかは言っていません。
包丁の選び方ひとつで、調理作業コストの削減・効率性の向上、食材の味の向上が、図れることを
理解してください。
効率性とは?味の向上とは?詳しくは別のコラムで述べますが、
・効率性とは、簡単に言うと、切れ味の長持ちしない安い包丁を買うことは、価格の安いエアコンや白熱電球を買うことと同じです。なぜ価格(イニシャルコスト)が高くても省エネ型高効率のエアコンを買うのか、LED電球を買うのか。維持費の電気代(ランニングコスト)が安く済み、また, LED電球は長寿命で長持ちするため、長い年月で見ると、トータルのコストでは、安物を買うよりもコストが抑えらえます。
包丁も同じことで、切れ味の長もちする包丁を使うことは、研ぐ回数が減ることで、
1.研ぎの回数・時間の短縮
2.包丁の摩耗が少なく、包丁が長持ち
3.砥石の摩耗も少なく、砥石も長持ち
その結果、包丁・砥石のコストも下がるだけでなく、調理人も研ぐ時間が減るので、その分、調理作業に専念でき、時間の有効活用、働き方改革にもつながります。
弊店はどんな包丁でも、樹脂柄を選べるので、包丁選びができます
加工場や調理場などお客様から見えない方は樹脂柄をお勧めします

・味の向上、食材の長もち 
鋭い切れ味が長持ちする包丁で食材を切ると、細胞を傷つけず、水分や旨味を閉じ込めます。そのため、食材の味を壊さず美味しくなります。また食材の切断面も細胞を壊していないので、食感、色合い、日持ちなどが変わります。
 経営者、オーナーの方には、こういった点も考慮していただいて、包丁選びをしていただきたいです。

(3)堺正元刃物店の衛生樹脂柄の特徴

弊店の樹脂柄の素材は、まな板専門メーカーと開発したもので、化学系物質についての安全データーシート(MSDS)の提出は可能です。ただハイソフト素材については現在準備中です。

【和包丁の衛生樹脂柄の種類】
                色   耐熱温度    特徴
 1. 耐熱・抗菌型      白     100℃    熱湯消毒・食器洗浄乾燥機もOK 
 2. ソフト型       ベージュ    70℃    木に近い感覚で、ソフト
 3. 黒           黒      80℃    お客様の前でも違和感なし

柄の形は丸形と八角型から選べます

和包丁衛生樹脂柄

【洋包丁の衛生樹脂柄の種類】    
                色     耐熱温度   特徴
 1. 耐熱・抗菌型      白      100℃   熱湯消毒・食器洗浄乾燥機もOK
 2. ソフト型      ベージュ      70℃   木に近い感覚で、ソフト
 3. 色分け用        黒        80℃   従来の牛刀の感覚
             赤・ピンク・黄    80℃   食材ごとの色分け可能
             ・緑・濃紺・水色
  色分けの例
   牛肉・羊肉 →  赤、ピンク
   豚肉・鶏肉 →  黄色
   魚     →  青色、水色
   野菜・果物 →  緑
   その他   →  白
洋包丁については、柄の太さを変えることもできます。通常の柄(約1.7㎜前後)よりも太目
(約2.2㎜前後)もできるので、刃渡りの長い包丁や、手の大きい方には便利です。

(4)包丁へのレーザー彫刻

洋包丁については、使い分けを柄の色で変えるだけでなく、さらなる念押しとして、包丁自身に食材のイラストをいれることもお勧めします。念には念をで、さらなる防止を図ることができます。
弊店では、レーザー彫刻機を保有しているのでどんな硬い金属にもレーザーで彫ることができます。プリントではないので、スポンジで洗っても、消えることはありません。

(5)包丁柄の加工について

包丁の中子と柄は、ステンビス止めで、接着剤は食品衛生法適合で安全データーシート(MSDS)の提出は可能です。
包丁と柄の隙間もこの接着剤で埋めているので、水が入ることはほぼありません。

(6)堺正元刃物店の包丁の種類

【和包丁の種類】
  出刃、刺身、薄刃、身卸しだけでなく、特殊用途包丁のサケ切り、マグロ切り、骨切りなど、
  各種かつサイズもいろいろと対応できます。
・和包丁鋼の種類
  錆びる鋼    日立金属安来鋼白2号、青2号
  錆びに強い鋼  日立金属安来鋼銀3号、V金10号、鍛造モリブデン鋼
        から選べます。
  白2号は加工会社様用にコストを抑えた「立つ研ぎ仕上げ」をそろえています
 
和包丁衛生樹脂柄各種
   
【洋包丁の種類】
  牛刀、筋引き、ペティナイフ、骨スキ、洋出刃
・洋包丁鋼の種類
  錆びる鋼    スウェーデン鋼、日本鋼 いずれも鋼だけの本焼きです
  錆びに強い鋼  スウェーデンステンレス鋼(両面デインプル加工の本焼きもあります)、
          V金10号、鍛造モリブデン鋼
        から選べます。
    
【その他料理用具】
     うろこ取りや貝さきにも樹脂柄を入れた商品もそろえています

4.包丁管理の提案

(1)除菌・錆止め剤ラップラクンの特徴

・さっと水に溶かして浸けるだけでサビをシャットアウトします
・溶液に浸ける度、その都度除菌します。大腸菌(O-157)、カンビロバクター、サルモネラ菌、
 黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌に効果があります。
・無味無臭で有害物質は含んでいません。
・簡単で低コストです。除菌とサビ止めが同時にでき、衛生管理の手間が省けます。
・ラップラ2クンは、添着効果により、スプレー使用(濃度2倍)に対応します。また、海外輸出
 にも対応しています。(英文、中国語資料、英文MSDSも用意しています)
・ラップラクンは、販売開始から約50年の実績、長年の安心とご愛用をいただいています。
  

食中毒対策

      
 

(2)使用方法 



除菌・サビ


・包丁を入れる容器にラップラクンを水1Lに対し約4g(軽量スプーン半分弱)を入れ、撹拌して
 溶かしてください。すぐに溶けます。
・使用後の包丁を水で洗い流して食品カスを取り除いたら、容器に包丁を入れて浸けてください。
 弊店の衛生樹脂柄の包丁なら柄まで全部浸けてください。柄も除菌できます。
 包丁使用時は水で流してからご使用ください。

(3)使用中の管理方法

調理加工作業中に包丁をまな板の上に置いたままにしていませんか。休憩時もまな板の上に置いた
ままにしていませんか。微生物が増殖したり、サビが発生したり、ステン包丁でも薄く黄色く
なったりし、危害要因が起きています。
・作業中の休憩時にも包丁をラップラクンを溶かした溶液に浸けるだけで、除菌とサビ止めが
 同時にできます。柄も浸けられるバットやコンテナがお勧めです。
 容器を置くスペースがない場合は、ラップラ2クンの水溶液をスプレー容器に入れて包丁と
 柄にスプレーしてください。これで除菌とサビ止めが同時にできます。
 アルコールや次亜塩素酸をスプレーして放置すると、すぐにサビが発生しますが、
 ラップラ2クンではその心配はありません。

(4)保管時の管理方法

 
包丁容器

・使用中時の容器のままでもいいですし、ラップラクン専用の包丁差しもあります。弊店の
 衛生樹脂柄の包丁なら、柄も浸けられるバットやコンテナもお勧めです。
・殺菌灯付き殺菌庫をご使用の方も多いと思いますが、包丁の裏まで殺菌灯が当たっていない
 場合もあるのでご注意ください。また殺菌庫は温かいので、隅のほうで虫がいる恐れがある
 ことにもご注意ください。

oli商品一覧

まとめ

 弊店のHACCP対応衛生樹脂柄の包丁なら、いろいろな種類の鋼、サイズの中から選べるし、これを管理するのに便利な除菌・サビ止め剤ラップラクンと合わせてご使用されることをお勧めします。
 除菌・サビ止め剤ラップラクンの無料サンプルのお申し込みや、その他お問い合わせは、堺正元刃物店お問い合わせHP https://sakaimasamoto.com/access.html または、メールアドレスinfo@sakaimasamoto.com へお願いいたします。
 HACCAPについて、詳しくは、厚生労働省、各自治体、業界団体のガイドラインなどをご覧ください。

この記事を書いたプロ

辻元明

包丁選びとメンテナンスのプロ

辻元明(堺正元刃物店)

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