家が高くなりました。これからどうなる。これからどうする。
家を建てるために必要な費用は、ここ最近ずっと上昇が続いています。
そして今のところ、下がる気配もありません。
このような状況下ですが、今回は絶対ローコストで家を建てたいという人に向けたアドバイスを書いていきたいと思います。
最初に・・・大手ハウスメーカーのモデルプランは駄目です
モデルハウスの見学に行くと「モデルプラン」がたくさん載っているパンフレットが貰えると思います。
大手ハウスメーカーの冊子に載っているカッコイイ家のプランですがローコストという意味では、ほぼすべて間違っています。
まず、ローコスト住宅の基本原則を以下に書いていきます。
平面的な凹凸のある家は避ける
外壁に凹凸がある家は、それだけでコストがかかります。
屋根の構成も複雑になりますし、いいことはありません。
そもそも外壁面の多い家は断熱上も不利ですし、複雑な屋根構成は将来的な雨漏りの原因にもなりかねません。
ローコストを目指す上では避けるべきです。
上下階の構成はなるべく揃える
水廻りの位置、部屋の配置などは上下階でなるべく揃えるべきです。
上下階が揃った立体構成は構造部材の節約になりますし、そもそも構造的安定性にも有利です。
用途が違い部屋を上下に揃えることで生活音に関するトラブルを避けることもできます。
建具はシンプルに
家の顔となる玄関ドアはなるべく良いものを使いたいですし、断熱性能などを考えると窓も高性能なものを選びたいですね。
品質を下げずにローコストを目指すのであれば、窓などの建具をなるべくシンプルな構成にして、数を減らすことです。
たとえば小さな窓、細長い窓を使った「三連窓」のようなものは、デザインとしては面白いかもしれませんが、ローコストでは避けるべきです。
室内建具についても、間取り構成をシンプルにすることによって、なるべく減らすのがローコスト住宅では重要だと思います。
・・・ここまで読んで貰えれば、パンフレットに載っているモデルプランがローコスト住宅を目指す上では何の参考にもならないことはわかって貰えると思います。
安い家=木造建売住宅などの現在
安い住宅というと少し前までは「木造建売住宅」とか「木造ローカル住宅メーカー」が基本でしたが、今、これらの業界も変わってきています。
大きな要因は、2025年の建築法の改正です。
この法改正では構造計算の提出義務の無かった木造住宅にも構造計算が必須になりましたし、高性能な断熱材、断熱性能の高い建具の採用についても必須になりました。
これによって住宅の性能が高くなったのは良いことなのですが「格安」を売り文句にしていた工務店、建売住宅にはかなり厳しい改正になったようです。
今後のことを考えると、今までのような格安路線とはいかないのではないかと思います。
これからどうする?
2025年の建築法の改正ですが、木造住宅の構造や建具、壁の断熱基準だけでなく、エアコンなどの建築設備にまで規制内容は及んでいます。
こうなると小手先の対策でローコストの家を建てるのは難しいのではないでしょうか。
今後考えるべきローコストの対応は、
構造レベルから合理的な設定を考える
ローコストというと今までは在来木造の家が有利でしたが、今後は必ずしもそうとは限りません。
必要な家の大きさ、土地の形状に応じて「一番合理的な家の構造」を選択する必要があります。
小さなコスト減を積み重ねる
ローコスト住宅は小さなところからの積み重ねです。
たとえば住宅建材は建築時点でなるべく量産型で入手しやすくリーズナブルなものを選ぶ。
お風呂や洗面も入手しやすいもの。場合によってはアウトレットやメーカーの在庫処分などを探すのもあるかもしれません。
キッチンなどは業務用や収益物件用を選ぶという方法もあるかもしれません。
ローコストで大事なのは家を建てるときの選択肢を増やすこと、そして設計者、施工者との協力関係を築くことです。
安い建材、住宅設備の情報は施工会社が詳しいですし、合理的な構造選びと間取り構成の設計は建築士の仕事です。
ハウスメーカーの場合、選べる構造も住宅設備も仕上げ材も基本的に決まっています。
値段を下げるためには「家を小さくする」「使う商品のレベルを下げる」などしか選択肢がありません。
設計者、施工者の協力でローコストを目指せば、選択肢は様々に増やせます。
要望される家によっては倉庫のようなワンルーム構造でもいいかもしれません。
業務用キッチンを使ってコストを下げるのもあるかもしれません。
店舗のような床材、オフィスのような材料を使うこともあるかもしれません。
選択肢を増やせば、様々なアイデアが生まれてきます。
これからローコスト住宅を目指すなら、設計施工の専門家の協力、そしてそして施主の割り切りで自由な発想で合理的なローコスト住宅を目指してください。



