ショートコースでのラウンドレッスンPart4 女性中級者
職人魂(クラフトマンの信条)
店をやっている以上、売り上げを上げるというのは絶対に必要なことです。
私もクラブ職人であると同時に経営者でもありますから、それは意識しています。
しかし、それと同時に絶対に守る!と決めていることがあります。
それは『生徒さんのためにならないクラブは作らない』ということです。
皆さん一生懸命働いたお金で買ってくださるのです。
もし買い替えてもらっても、性能に大差がなかったり、あるいは難しすぎて使えなかったら意味がありません。
例えば『3番ウッドが欲しい』と言われた方に、『今は要りません。もし3番ウッドを持ったら、貴方はロングホールで遮二無二2オンを狙いに行ってしまって大叩きする危険が高いからです』と言って作らなかったことがあります。
また『やっぱり5番アイアンくらいは打ちたいなぁ』と言われた年配の方に、『このクラブのスペックで5番は、昔の3番アイアンみたいなものです。難しすぎますからやめておきましょう』と言って断ったこともあります。
逆に今使っているクラブがアンダースペックになっていて、これ以上クラブが技量の上達を助けてくれないとなったら、『このクラブのポテンシャル(潜在力)いっぱいです。換えた方がいいと思いますよ』と言うこともあります。
もちろん合っていないクラブを辛抱して・・・ご本人は上手く打てないのは自分のせいだと思いこんで・・・使っている方には、はっきりと『そのクラブ合っていませんよ。上手く打てないのは貴方のせいではなく、クラブとの相性が悪いからです』とはっきり言って差し上げます。
結果、欲しいと言われるものを作らなかったせいで売り上げを落としていることもあるのです。
しかし、そこには私の職人としての信条があります。
それが表題の『職人魂』であり、クラフトマンの信条です。
いくら欲しいと言われても、生徒さんやお客さんのためにならないクラブは決して作らない。
無駄なお金は遣わせない。打てないクラブや、性能に差が出ないクラブは売らない。
これは、私が経営者であっても、どんなに売り上げが必要であっても、必ず守ると決めていることです。
以前にも書きましたが、いいクラブを作ると却って売れないという現実があります。
いいクラブゆえに、ご紹介がいただけないからです。
ですが、売らんがために『そこそこのクラブ』は作れないとも書きました。
その信条は全くブレていません。
売らんがためのクラブを作った時、私の職人魂は消え去り、二度と職人とは名乗れなくなってしまうでしょう。
もしその距離を打てないお客様が、『どうしてもこの距離を打つのに〇番アイアンが欲しい』と言われたら、その方がその距離を打てる別のクラブを考えてお奨めします。
あくまでもお客様の意志(この距離を打ちたい)は尊重しながら、その方が使いこなせないと分かっているクラブを、言われたままに=注文されたからと言って作るのではなく、その方が使いこなせるものをお奨めします。
それが職人としての責任であると考えるからです。
必要なスペックを備え、かつ使いこなせる上にアンダースペックにはならないもの。
これを考え、本当に必要な、役に立つものだけを提供する。
これが私(職人=クラフトマン)の信条です。
ただそうは言っても、お客様が『打てなくてもいいんだ。とにかくバッグにこのクラブが入っているということが大切なんだ』と言われれば、それはお作りします。
なぜならそれは、実用の部分ではなく精神的なものだからです。
打てなくてもいいから〇番アイアンを入れておきたい。
これがそのお客様のプライドを満足させるのなら、これはこれでクラフトマンとしてやらねばならないことです。
あまり良いたとえではありませんが、医療物の小説や漫画などを見ていると時々こんなセリフに出会います。
『医者が全ての患者を救えるわけじゃない。正しく死なせることも医者の務めなんだ』
正しく死なせるとはどういうことか?と訊かれれば、私にははっきりと答えることはできません。
ただ、『人としての尊厳を保つ』とか、『心の平穏を得る』とかではないかな?と思っています。
この心の平穏が〇番アイアンであり、入ってさえいればよいになる場合があるのではないか?とも思っています。
この場合は、『使えなくともお客様のためになるクラブ』と言えるからです。
しかし、こういった場合を除き、要らないものを売りつけることは致しません。
安心してスウィングだけでなく、クラブの相談にもお越しになって下さいね。
無料体験レッスンでは、クラブの診断も行っております。
どうぞお気軽にお訪ねになって下さいね。