良いクラブであればあるほど、売れないという悩み

深田洋史

深田洋史

テーマ:ゴルフクラブ

いいクラブを作れると、逆に売り上げが悪くなってしまう嘆き。
クラブ職人の誇りと経営者の責任とのジレンマ。
クラフトマンたらんとすれば、経営的には苦しくなってしまう矛盾。

今回はティーチングプロとしてではなく、クラフトマンとして、また経営者としてのジレンマをお話ししましょう。

クラフトマンの喜びとは、プレーヤーが『すごく振りやすい!』、『距離が伸びた!』、『スコアが上がった!』と喜んでいただくことです。
そしてそこからこちらが期待するのは、他の方が『それいいですね。どこで買ったんですか?』と訊いてくれて、お客様から広まっていってくれることです。
ですが、ほとんどの場合『いや、それは教えられへん』とか、『これは俺だけの秘密兵器や』と教えてくださらないんですね。
まぁプレーヤーの立場に立てば、分からないじゃないです。
『やっとあいつに勝てるようになったのに、教えたらまた負けるかも?』とか、『いい武器は独り占めしたい』という心理です。
ある方がおっしゃいました。
『そこそこにええクラブやったら、ここで買ったってなんぼでも教えるよ。せやけど、ここまで凄いと教えとないわ。教えたら、みんなが上手なってまうやんか。そこそこどころちゃうから教えとないねん。』
クラフトマンとしては、これ以上ないお褒めの言葉です。
が、経営者としては、大変頭の痛い言葉でもあります。
そこそこのクラブなんて作りたくもありません。
作らせて頂くからには最高のものをお作りします。
さて、その最高評価が今度は経営を圧迫します。
『良すぎるから、他の奴には教えない』
素晴らしいクラブだからこそ、誰にも紹介して頂けないという矛盾が生じるのです。
そこそこのものなんて作りたくもないというクラフトマンとしてのプライド。
誰かに教えて構わない程度のものを作った方が、経営的には助かるかも?という思い。
そのどちらも私自身が処理しないといけないから大変なんです(苦笑)

ではどちらを取るのか?と、訊かれれば、答は決まっています。
『そこそこのクラブなんて作りたくもない。作るからには最高のものを』
これは変えられません。
誇りはお金では売れません。お金に代えることは、決してできません。
紹介欲しさにそこそこのクラブを作るようになったら、私は経営者としては合格かもしれませんが、『職人』としては、一生消せない傷を自らつけることになります。
一度壊してしまったプライドは、二度と蘇ることはないのです。
品質に妥協はできない。これだけは、誰が何と言おうとも譲れません。

『いいものを作れば売れるという考えは間違っている』
ときどき経営に関する本などでそう書いてあります。
まさにそれは当たっているな・・・と苦笑せざるを得ません。
事実、素晴らしいクラブという評価を頂きながら、ご紹介頂けず、売ることに苦労しているわけですから。
売れない事には経営は成り立たない。
でも、売るために、紹介欲しさに『そこそこのクラブ』は作れない。
このジレンマを、どうにも解消できないまま今日まで来ています(苦笑)
どなたか良いアイデアをお持ちではありませんか?
もしございましたら、是非お教えください(笑)

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深田洋史
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深田洋史(スポーツインストラクター)

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