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木村知子

通常学級での学びをサポートする発達相談&学習支援のプロ

木村知子(きむらともこ) / 子育て&学習支援トレーナー

完全個別学習支援教室 まちるど

コラム

パルモア病院小児科診療部長三宅理先生にお聞きしました!~でこぼこ発達の子どもたちの子育てと勉強について~

2022年9月30日 公開 / 2022年10月3日更新

テーマ:発達障害児の子育てと勉強

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

コラムキーワード: 発達障害 診断子育て悩み相談発達障害 支援

この度はパルモア病院小児科診療部長であり、子どもの神経発達について御専門の三宅理先生と医療と教育について語り合うというとても貴重な機会をいただきました。

パルモア病院
木村:まちるどでは発達障害や境界知能の子どもたちの学習支援を行っています。医療の世界では発達障害の診断はどのように行われているのでしょうか?

三宅先生:心理発達テストで何点だったから〇〇障害と簡単に診断が付くわけではありません。診断を求めて受診されることもよくありますが、診断名に強くこだわりません。成長とともに診断は揺れることもあることを保護者に伝えています。

木村:LD(学習障害)単独で発症の子どもたちはいますか?

三宅先生:当院ではLD(学習障害)単独で発症というのはあまり見ないですね。やはりADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム障害)を併発していることが多いです。いわゆる発達障害は主に、多動・衝動の強さ、不注意の強さ、社会性の弱さ、言語コミュニケーションの難しさ、こだわりの強さ、これら5本の柱が主体と考えていますが全て10割でなく、程度の強いもの強くないものも混在して『でこぼこ』しているもので、これが成長とともに揺れ動く。以前は見られなかった症状が急に出てくるのではなく、あっ、もともとあったんだね、前は目立たなかっただけなんだね、ということだと思います。

木村:私たちも数年子どもたちと接していると症状が変わって、あれ?こんなことに困っていたかな?ということがよくあります。

三宅先生:その都度出てきた困りごとに対処していくということですね。

木村:困っている方は多いです。私はまちるどを始めた当初は考えが甘く、勉強の仕方を工夫すればどんな子どもたちも勉強ができるようになると思っていました。でも実際は器質的な問題、その上に療育があって、その次に勉強があるんですね。

三宅先生:療育が重点的に必要な子どもは(勉強の)机上になかなか乗らないですよね。

木村:乗らないです。だから、私たちも学習支援と言いつつ、療育と学習両面を支援しているのが実態です。

三宅先生:全く勉強ができないわけじゃない、全然ヒトとコミュニケーションが取れないわけじゃない、でも実は困っている。この層ですよね。発達障害の診断がはっきりと言えない境界域と言われる層が一番しんどい。

木村:小中学生でも”オムライス”や”つくえ”という簡単な言葉が出てこない子どもたちもいます。語彙の定着が悪い場合、どう対応すればいいのか私も悩んでいます。

三宅先生:DQ70~80台の子どもたち、また特にワーキングメモリーが低いと、淡々と進む授業の中で先生の言っていることに追いつけない、わからない、板書ができないといったことが出てくる。実際は日常生活もきついと思います。

木村:大きくなるとできる支援が減ってくるので、本当は幼稚園年中~小学校2年生ぐらいまでにどこかの支援にたどり着いてほしいのですが、3年生ぐらいになって勉強に困って、やっと気づくというのが多いのが現状です。

三宅先生:やはりASDの子どもたちに一番必要なのはSST(ソーシャルスキルトレーニング)だと思います。ずっと自分が正しいでは生きていけない。時にはこちらから折れること、相手のことを考えて合わせること、まあいいかと思えるようになることを学べる機会が欲しい。こういったときにはこうした方がいいんだよ、後で得なんだよということをできるだけその場で教えてあげて、小さいうちから少しずつ積み上げていく。そうでないと大きくなったときに「何で自分が悪いんだ!」となっていつも周囲とぶつかり合う存在になってしまいますから。

木村:ASDの子どもは自己理解が遅いと言われています。通常4年生ぐらいから起こる自己理解が中学生ぐらいまで来ないこともあって、やはり周囲とこじれることが多いように感じます。

三宅先生:親もよくわからなくてどうすればいいのかわからない。ゲームばかりする子どもを見て親も半ば諦めてしまう。とりあげると余計に暴れたりしますから。どうすることもできない。またこのような子どもはトラウマに弱く、何かトラウマ的なものを体験した過去があるんだろうなと思うことがよくあります。

木村:まちるどにも不登校の生徒さんが多いです。

三宅先生:子どもが大きくなると、精神科病院などに親が相談に行っても、本人はその意識がないから一緒に行かない。直接本人への支援が届かない。なす術がなくなります。

木村:そうですね。大きくなった子どもたちは特に行き場が少ないです。

三宅先生:パルモア病院では基本初診2、3歳~15歳までの子どもたちの診療を行っています。その年齢を越した人たちの初診の行き場が少ないのが現状です。

木村:まちるどにも大学生の生徒さんがいますが、困っています。医療も教育も共通して困っていることが多いということですね。私たちも支援の内容をもっとわかりやすく伝えていかなければなりません。

今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。


[まちるど事業内容]
言語発達支援、心理&ソーシャルスキルトレーニング、親相談を実施しています。学校生活の質を向上させるための学ぶ力、人と関わる力を養います。

この記事を書いたプロ

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木村知子(完全個別学習支援教室 まちるど)

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