相手の話をとことん聞き続ければ
私がサラリーマン時代にこんなことがありました。
私は、幸いにも大学をでていましたので、若輩の身でありながら、現
場担当の係長になりました。
その現場には、定年前の熟練工が数人いました。
■あるとき、その現場の新入社員と話す機会があり、いろいろと話をし
ていると、「先輩が仕事を教えてくれない。」という事実が分かりま
した。
そこで、私は現場に出向き、熟練の先輩に「後輩に仕事を教えてほし
い」と頼みました。
すると、返ってきた答えは「何で、俺が苦労して得たものを教えなあ
かんのや。」でした。
■よくある話です。
私はそのとき先輩にいいました。
「先輩が努力を続ける限り、教えたからといって追い越されることは
ないはずです。スタート地点が違うんですから。」
「まさか先輩は、今のところに立ち止まっているつもりではないです
よね。」
「どうか、若者を育ててやってください。」
と。
■人に教えるということは、自分を伸ばすためにもいいことなのです。
でも、自分がこれ以上伸びないと思っている人は、他人に仕事を教
えません。
教えると、自分が追い越されると思うからです。
他人に物事を教えようとすると、一度自分の知っていることをまと
め直さなければなりません。
全て完全に理解できてこそ、人に教えることができるからです。
■「君の得意分野だから皆に教えてやってほしい」と講義を頼まれた
ことのある人は分かると思いますが、必ず自分の知識を再確認して、
完全に理解できていないことは、もう一度勉強します。
このことだけでも、以前より伸びているのです。
そして、相手は今から、教えられたことを吸収していくのです。
■努力を続ける限り、自分はもっと先に進むのですから、追い越され
ることはありません。
おまけに、若い人の役にたちます。
でも、現状で満足している人はやがて、追い越されます。
ですからそのような人は、他人に教えません。
■人に教えるということは、自分を伸ばすエネルギーなのです。