任意売却の流れと売却する際の相談先
住宅ローンを滞納すると、金融機関から支払いを求める通知が届きます。それでもなおローンの支払いが滞ると、最終的には「競売」の通知が届くことになります。
金融機関からの通知
(1)住宅ローンを1~2ヵ月滞納すると、金融機関から「督促状」が届きます。
滞納しているローンの金額が明記され、「〇月〇日」までに支払うよう求められます。
(2)それでも滞納を続けると「催告書」が届きます。
文面は厳しいものになり、指定された期日までに滞納分を支払わなければ、「期限の利益喪失」となることが記載されます。
「期限の利益喪失」とは、もう分割払いができなくなる、という意味です。分割払いができない
ということは、ローンの残りを全額一括で支払わなければならないことになります。
また、「期日までに支払いがない場合、保証会社に代位弁済を求める」ということも明記され
ます。
住宅ローンを結ぶ際は保証会社と保証委託契約を結ぶことになっています。「代位弁済」とは、この保証会社がローンの未払い分を全額、債務者に代わって金融機関に支払うというものです。
代位弁済をした保証会社は立て替えたお金、そして、滞納による遅延損害金なども含めて一括返済を求め、それに応じなければ競売の手続きを進めることになります。
(3)住宅ローンの滞納が3~6ヵ月になると、「期限の利益喪失通知」が届きます。もう分割で支払う権利がなくなったわけですから、住宅ローンを一括で返済しなければなりません。
(4)「期限の利益喪失通知」から間をおかず、数日中に「代位弁済通知書」が届きます。
住宅ローンの残りを金融機関に保証会社が一括で支払ったことの通知です。
代位弁済が行われたことで債権は金融機関から保証会社に移ることになり、保証会社から、立て替えたお金を全額一括で返済するよう求められます。
住宅ローンの未払い分、滞納時の遅延損害金なども含めての一括返済です。そして、一括返済がなされない場合、保証会社は競売の手続きに入ります。
(5)保証会社による競売の手続きが済むと、裁判所から「競売開始決定通知」が届きます。
債務者の家を「競売にかけます」という通知です。この通知がくるのと同時に登記簿には差押登記がされますので、自分で家を自由に売ることはできなくなります。
競売の流れについて
次に「競売」がどのように進められるかを見てみましょう。
(1)物件の調査
競売開始の決定が出されると、1~3ヵ月以内に物件の現況調査が行われます。
裁判所から派遣された執行官(裁判所の職員です)、鑑定人(不動産鑑定士の資格を持ったプロの鑑定士です)が訪れ、家の状態を調べます。そして、「評価書」「現況調査報告書」を作成し、裁判所がこの2つをもとに売却基準価額を決定します。
(2)入札期間を知らせる通知が届きます。
通知には、〇年〇月〇日~〇年□月□日までを入札期間とし、〇年△月△日を開札期日にすること、その場所、売却決定期日などが記されています。
そして、入札期日の2週間前にまでに、物件に関する情報がインターネットなどに公開されます。
(3)入札開始
入札の仕組みはインターネットのオークションと同じです。物件を買いたい人が希望価格を提示し、その中で最も高い値をつけた人が落札者となります。落札者を「買受人」と言います。
(4)所有権の移転
落札者(買受人)が決まったあと、裁判所の認可が下り、落札者(買受人)が代金の支払いを済ませると、物件の所有権は落札者(買受人)に移ります。もう家は落札者(買受人)のものですから、すみやかに明け渡す必要があります。
明け渡しを拒んでも、落札者(買受人)は法律にもとづいて、強制的に立ち退かせることができます。
競売を避けるための任意売却
さて、競売によって家を売られ家も明け渡した、これですべて終了、となるわけではありません。
競売によってもなおローンの未払い分がある場合、その支払いを求められます。しかも、一括による全額返済です。
競売に至る経緯を考えれば、多くの方がこの請求に応えることは難しいでしょう。多くの場合、債務の整理のために自己破産を選択せざるを得ないことになります。
そうなる前にぜひ考えたいのが「任意売却」です。
「競売」による家の売却価格は市場価格の5~6割程度です。「任意売却」の場合、家を市場価格に近い値で売却できます。「競売」にくらべローンの残債をずっと少なくすることができるわけです。
また「競売」は法による強制ですが、「任意売却」は債権者である金融機関との話し合いで事が進みます。
そして、この話し合いによって、ローンの未払い分(残債)の月々の返済額を低くしてもらう、場合によっては残債そのものを減額してもらえるなど多くのメリットがあるのです。
「競売」も「任意売却」も家を売るという点は同じですが、売却後が大きく違うのです。
「競売」を避け「任意売却」することをおすすめします。