ファンドマネージャーによる投資判断の視点
お客さまにお伝えしたいこと
- 日本株式を組み込むことで分散効果が高まる可能性がある。
- 全世界株式は成長株(グロース)優位、日本株式は割安株(バリュー)優位という特性があり、スタイルの異なる運用を組み合わせることができる。
- 全世界株式は情報通信の比率が高い一方、日本株式は製造業・資本財・ヘルスケアなどが厚く、業種を分散できる可能性がある。
日本や米国の株式市場は2022年から2025年にかけて、3年連続で2桁台のプラスリターンを記録するなど過去の実績で堅調な推移を示して、株式投信(公募投資信託)の残高は2025年末時点で約285兆円、上場投資信託(ETF)を除いたベースでは約175兆円と2014年末時点対比でそれぞれ3.7倍/2.6倍と拡大しています。
そして公募投資信託の残高拡大を支えているのはオルカンとして知られている全世界株式やS&P500などの米国株式を対象にしたファンドです。直近で純資産総額が1兆円を超える公募投資信託のラインナップを見ると、全て全世界株式や海外株式を主な投資対象としたファンドとなっています。投信総合検索ライブラリー
全世界株式や海外株式は外貨建て資産となりますのでこれまで円安の恩恵を受けていたのも事実です。
これらの資産は世界経済や世界の企業業績の拡大をリターン源泉としており、中長期的には為替変動の影響を乗り越えながら成長していますが、 2026年1月時点のドル円は150円台の円安水準となっています。
そのため、今後の短期的な為替変動も気になるというのが皆さまの本音かと思います。
そこで今回は円建て資産を代表する日本株式を組み込むことで得られる可能性がある効果について採り上げます。
【日本株式を組み込むことの意義】(その1.リターン分散)
お客さまが現在保有している運用に新たな商品を組み入れて分散効果を狙う場合にポイントとなるのが、現在の運用と新たに組み込む運用との相関係数と呼ばれるそれぞれが互いにどのくらい関係しているかを示す指標です。
相関係数は-1~+1の間で示されて、+1に近いとそれぞれは同じように動くことになり、分散して投資しても分散効果は期待出来ないことになります。
そのため、分散投資を検討する際にはより相関係数の小さい運用を組み合わせることが重要になります。
そこで過去30年間の全世界株式と米国株式、欧州株式、日本株式について月次リターンの相関係数を見てみると日本株式は米国株式や欧州株式に比べて相関係数は小さく、円建て資産を組み入れることで、為替変動リスクへの一定の対応が可能となり、全世界株式との組み合わせにより、運用全体の分散効果を期待する投資家もいます。
【日本株式を組み込むことの意義】(その2.スタイル分散)
株式投資には、企業の成長性に着目するグロース運用や、投資する銘柄の割安度に着目するバリュー運用など、「スタイル」と呼ばれる運用特性があります。
それぞれリターンの表れ方には特徴があって、一般に金利が低下する景気刺激局面においては成長株(グロース)が優位に、金利が上昇する景気引き締め局面では割安株(バリュー)が優位になると言われています。
1996年12月以降の全世界株式のバリュー株とグロース株との比(バリュー/グロース比)を見てみると、2000年代半ばから一貫して低下する動き、すなわち成長株(グロース)が優位な動きが見られていました。一方で日本株式では総じて1より大きくなる動き、すなわち割安株(バリュー)が優位な動きであり、2020年以降は上昇しています。
株式投資のスタイルで見ると全世界株式が成長株、日本株式は割安株と特性が分かれており、運用スタイルのバランスを意識して組み合わせる投資家もいます。
【日本株式を組み込むことの意義】(その3.業種分散)
全世界株式に日本株式を組み込むことの意義のひとつに特定の業種への偏りを和らげる業種分散が挙げられます。全世界株式の業種構成を見てみると、GAFAM(*)と呼ばれる主要IT企業、業種では情報通信の割合が高いのに対して、日本株式は、自動車、機械、ロボティクス、素材、精密機器、ヘルスケアなど、グローバルな製造業・ニッチトップ企業が多く、業種では資本財・サービスや一般消費財・サービスの割合が高く、組み合わせることで、業種構成のバランスを考慮したい投資家の選択肢となる場合があります。
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