<2025年参議院選挙と日本株の関係を徹底解説>  ~「選挙は買い」は当てはまるか!?~

森岡寛将

森岡寛将

テーマ:資産運用のポイント

【「選挙は買い」について】

  2025年7月に予定されている参議院選挙について、選挙と株価のアノマリーとして知られる『選挙は買い』を考察してみたいと思います。

『選挙は買い』というアノマリーは選挙の告示日から投票日までの株価が上がる傾向があることで、一般的な投資理論では 上手く説明は出来ないが経験則として語られる事象のことです。

まず、昨年10月に行われた衆議院総選挙を1972年まで遡って過去18回分を振り返ってみると解散日の前営業日から投票日の前営業日までの日経平均株価の騰落を選挙前リターンとして算出すると実に18回中16回がプラスという結果でした。

 また、マイナスとなった1976年12月は唯一任期満了で行われた総選挙であり、衆議院解散で行われた総選挙は前回の2024年10月を除く16回全てがプラスでした。
正に衆議院総選挙は『選挙は買い』が当てはまる典型的な事象だと言えます。
衆議院総選挙で株価が上がる背景には色々な意見がありますが、有識者によると、衆議院総選挙は日本の政治における課題を打開するために国民に信を問う場となることで主に海外投資家が「日本が変革するのでは」という期待を抱かせることや大きなイベントとなる衆議院総選挙に対して期待を込めて祝う「ご祝儀相場」となることが挙げられています。

【参院選では】

 これを参議院選挙で見てみると様相は大きく変わります。
参議院選挙は全て任期満了に伴う選挙ですので、投票日の30日前から投票日の前営業日までを同様に選挙前リターンを算出すると1971年から前回の2022年までの18回中で上昇となったのは9回と半分でした。

 確率は50%ですので『選挙は買い』は参議院選挙では当てはまらないことが分かります。

また、参議院選挙と日本株の動きについて、選挙後も含めて見てみると興味深いことが分かります。ここでは投票日の30日前から投票日の3か月後の月末営業日までのリターンをトータルリターンとして算出してマイナスとなった時期について考察してみたいと思います。

 まず、マイナス幅の大きな1974年は第1次オイルショックでの下落相場、2001年は同時多発テロによる下落相場となっています。
 このように日本株の相場を決める要素にはイベントや海外要因などが大きく影響していますが、選挙に関することで見てみると、歴代の内閣の安定性が大きな役割を果たしていました。

 マイナスになった2007年と2010年における内閣を見てみると、2006年9月に長く続いていた小泉内閣から第1次安倍内閣になって以降、1年から2年の短い期間で内閣が交代することが続いて政権が安定していない期間でした。当時は短期間で内閣が変わっていて国民に人気が無く日本の政治が安定しないことが日本株の低迷につながっていたと言えます。
 また、2004年の参院選では小泉政権で与党が敗退しており、1998年の参院選では与党が大幅に議席を減らした責任をとって当時の橋本内閣が総辞職するなど、内閣の安定性が揺らいだ期間でした。

【歴代内閣の在任期間】(2001年~2011年)

内閣総理大臣在任期間           備考
小泉純一郎  2001年4月~2006年9月 任期満了
安倍晋三  2006年9月~2007年9月 病気で辞任
福田康夫  2007年9月~2008年9月 内閣支持率低下で辞任

麻生太郎  2008年9月~2009年9月 衆院選敗北で辞任
鳩山由紀夫  2009年9月~2010年6月 内閣支持率低下で辞任
菅直人  2010年6月~2011年9月 予算関連法成立に伴い辞任

一方でプラスとなった2013年、2016年及び2019年は、安倍政権が長期政権を築いていた期間でした。

【歴代内閣の在任期間】(2012年~2020年)

内閣総理大臣    在任期間
安倍晋三(第2次)2012年12月~2020年9月

 このように参議院選挙前後のリターンで明暗を分けた背景は、政権の人気と安定性でした。
 内閣支持率が低迷したりするなど内閣の人気が低いとマイナスリターンとなる一方で、長期安定政権ではプラスリターンとなっています。
 衆議院解散総選挙は日本株にとって『選挙は買い』のイベントでしたが、参議院選挙は日本株の今後を占う『日本株の試金石』であると言えます。

 この点で、報道などから今回の夏の参議院選挙前の内閣支持率の動きを見てみると、現在の石破政権は残念ながら人気は高くないようです。過去の事例から見てみると、このままだと日本株はあまり芳しくないことが見込まれます。報道等でも景気対策での迷走が言われており、現政権に対する期待はあまり高くないようです。

  過去の事例から見てみると、参議院選挙は日本株は芳しくない材料となりそうです。報道等でも景気対策などの迷走が言われており、現政権に対する期待はあまり高くないと思われます。
 一方でこの状況を打開できるような内閣が参議院選挙前後に新たに誕生することになれば、日本企業業績は足元こそ慎重ですが先行きは堅調に推移することが予測されていますので、将来への期待も含めて一転して日本株が浮上していくこともあるかもしれません。

【関連動画】2025年参議院選挙と日本株の関係を徹底解説 ~「選挙は買い」は当てはまるか!?~

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森岡寛将
専門家

森岡寛将(最高運用責任者)

株式会社アンバー・アセット・マネジメント

「顔が見える運用」「家族に勧められる商品・サービス」をコンセプトに、顧客本位の資産運用サービスを提供。運用現場からバックオフィス業務まで豊富な経験を有する最高運用責任者より役立つ情報発信に注力。

森岡寛将プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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