Mybestpro Members

千田大輔プロは北海道テレビ放送が厳正なる審査をした登録専門家です

字が書けなくても遺言書は作れる?自筆証書遺言と公正証書遺言の活用法

千田大輔

千田大輔

テーマ:遺言

年齢や病気、ケガなどで字を書くのが難しくても、遺言書をあきらめる必要はありません。自筆証書遺言は本人の自書が絶対条件のため難しい場合がありますが、公正証書遺言なら、公証人が内容を筆記し、署名も代筆してもらえるため作成が可能です。字が書けない状況こそ、公正証書遺言が適した選択肢になるケースが多くあります。

なぜ「字が書けない」人がいるのか?主な背景事情

字が書けない」といっても、高齢・病気・ケガなど原因はさまざまです。

高齢になると手が震えて筆圧が弱くなったり、病気やケガで手指の自由を失ったり、極度に視力が落ちて手元が見えなかったりと、文字を書く行為自体が難しくなるケースが散見されます。

  • 脳梗塞後の後遺症で右手が使いにくい
  • パーキンソン病などで手が小刻みに震える
  • リウマチなどで指を動かすのが痛い など


このような状況だと、自分の名前を書くにも苦労するかもしれません。

自筆証書遺言は字が書けない人には難しいのか?

自筆証書遺言は全文・日付・氏名の自書が絶対条件とされています。どうしても字が書けないことから、別の人物に手を添えてもらって遺言書を作成した場合は、「もはや自署とはいえない」とみなされる恐れがあります。

ただし、「手を添える」のも程度次第で、字を書きやすいよう紙を支えてあげる程度の介助は容認される傾向にあります

自筆証書遺言の基本的ルール

自筆証書遺言は、遺言者がその全文、日付、および氏名を自書し、押印しなければならないと定められています。自分で文字を書くという部分が非常に重要で、他人の代筆は一切認められていません。

ルールさえ守れば手元の用紙を使って遺言書を作成することができるため、自筆証書遺言書は多くの人に人気の遺言形式です。しかし、後から無効とされないために注意が必要です。

どこまでなら他人の助けを得ても大丈夫か

実際の現場では、「ペンを握る手が震えるので、家族が手を添えて補助した」という事例もあり得ますが、これは自書要件を満たさないと判断されるリスクが高いです。最悪の場合、せっかく苦労して書いた遺言が無効になるかもしれません。

  • 軽度:紙を押さえてブレないようにする → 問題ない可能性が高い
  • 中度:遺言者の手を少し誘導する → グレーゾーン
  • 重度:ほぼ全て他人がペンを動かす → 自署とは認められない恐れ大


公正証書遺言なら字が書けなくても作成できるか?

公正証書遺言は、遺言者が口頭で内容を伝え公証人が筆記するため、本人が字を書けなくても作成できます。

自筆証書遺言の「自書要件」が厳しい場合、「遺言者が公証人に口頭で遺言内容を伝え公証人がそれを筆記する」公正証書遺言なら、本人が字を書かなくても遺言を残せる点は大きなメリットとなるでしょう。

署名ができない場合は公証人が代筆できる

公正証書遺言では、通常、遺言者が署名をすることになっていますが、「遺言者が署名できない場合は、その事由を公証人が付記して、署名に代えることができる」と定められています。

すなわち、字が書けない遺言者であっても、その理由を公証人が正当と認めれば、公証人が署名を代行することで公正証書遺言が成立するということになります。

公正証書遺言の作成手順

口頭で遺言内容を伝え、公証人が筆記するという流れで進みます。

  1. 事前に公証人や法律の専門家と打ち合わせして遺言の原案を作る
  2. 作成当日、遺言者は公証人に対し「〇〇という財産を△△に遺贈する」等の内容を口頭で伝える
  3. 公証人がその内容を筆記し、遺言者・証人に読み聞かせまたは閲覧させる
  4. 遺言者が「書かれた内容は自分の意思と同じ」と確認
  5. 遺言者が署名押印 → もしできなければ公証人が理由を付記し代わりに署名


字が書けない状況で気をつけるべきトラブルとは?

「字が書けない」という身体的制約だけでなく、遺言者に意思能力(認知機能)があるかどうかも争点になりやすいです。もし、認知症や意識混濁などが原因となって財産分配の意味を十分理解できていなかったと判断されると、遺言自体が無効となる恐れがあります。

遺留分トラブルにも配慮

形式上は有効に作った遺言書でも、一部相続人の遺留分を大きく侵害してしまうと、後から争いになる可能性も否定できません。特定の相続人に財産を多く残したい場合は、遺留分対策をしっかり考えることが大切です。

医師の診断書や介護記録で意思能力を証明

高齢者や病気の方が遺言を残す際、「作成時点で十分な意思能力があった」ことを証明するために、医師の診断書や介護記録を用意するのも良い手段です。後で相続人同士が争った場合、証拠としても有用です。

今後、字が書けない人の選択肢は広がるのか?

2026年6月に成立・公布された法改正では、自筆証書遺言などの「押印」要件が廃止されるほか、法務局が保管する新しい方式「保管証書遺言」も創設されることが決まっています。

ただし、押印が不要になった後も「全文・日付・氏名の自書」という要件は維持される見込みで、押印廃止の施行は公布から1年以内、保管証書遺言の施行は公布から3年以内とされており、いずれも現時点ではまだ利用できません。

字が書けない方にとって直接的に選択肢が広がるわけではないため、当面は現行の公正証書遺言が現実的な選択肢となります。

字が書けなくても遺言は残せる|専門家への早めの相談が安心

「手が震えてうまく署名できないから遺言書を作れない」とあきらめる必要はありません。むしろ、字が書けない状況こそ公正証書遺言が最適な選択肢になる場合が多いです。元気なうちに専門家へ相談し、意思能力が十分なうちに公正証書遺言を作成するのがおすすめです。

当事務所では、遺言書作成から相続手続き全般のサポートまで多角的に対応しております。司法書士や税理士とも連携し、トラブルを未然に防ぐためのアドバイスを行っていますので、「字が書けないが遺言を残したい」「高齢者で手が不自由だが、公正証書遺言を作成できるか不安」という方は、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

千田大輔
専門家

千田大輔(行政書士)

行政書士法人ドラゴンオフィス

相続・遺言に特化した行政書士として、関連する専門家と連携しながらトータルサポート。札幌近郊で3000件以上の業務実績があり複雑な事例にも精通。身元保証サービスも人気。2024年は新宿にも支店を展開。

千田大輔プロは北海道テレビ放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

相続・遺言・生前対策のプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ北海道
  3. 北海道の法律関連
  4. 北海道の遺産相続
  5. 千田大輔
  6. コラム一覧
  7. 字が書けなくても遺言書は作れる?自筆証書遺言と公正証書遺言の活用法

千田大輔プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼