「いつ切るか」が木の命運を分ける。樹木医が教える、剪定の適期に行う重要性。
『剪定』には大きく分けて「切り詰め」と「透かし」の二つのアプローチがあります。
「切り詰め」は枝の先端を切って樹形を小さくする方法です。生垣などの刈り込みも「切り詰め」の中に含まれます。業者を含めてほとんどの方がこのやり方をしているのではないでしょうか?
しかし、このやり方を続けていると、枝が込み合って日陰となり枝が枯れたり、幹に近い方の枝から新しい芽が出づらくなりますので枝が間延びして横に大きくなり、後々、良い樹形を保ったまま小さくすることが難しくなります。
皆さんも、刈り込みだけを繰り返している生垣が大きくなり過ぎて敷地からはみ出しているものを見かけたことがあると思います。
また、刈り込みだけを繰り返している仕立物のオンコの枝が間延びして樹形が崩れているものを見かけたことがあると思います。
「切り詰め」を繰り返し行うと樹形が崩れていくだけではなく風通しが悪くなり、病害虫の発生の危険性が増します。
私の生垣のお手入れの仕方は、まず枯れ枝と支障枝を除去します、そして刈り込みばさみで刈り込みます。次に刈り込んだ先端の枝を込み具合により透かしたり、芽の方向を見て切り直します。
この方法を毎年繰り返し行うと、内側の発芽が促進され樹形を整えながら小さくしていけることになります。
※刈り込みは業者を含めてトリマーという機械で行う方が多いですが、トリマーを使用すると切り口がつぶれて、切り口が塞がりづらくなります。これは樹木に負担を与えることになります。
以上のような理由からも、私が最も大切にしているのが、『透かし剪定』です。
『透かし剪定』は、上っ面だけを刈り込むのではなく、はさみを枝の内側まで、差し込み、込み合った枝を丁寧に整理することで、残った枝葉に光と風が十分に通るようにします。
日光をたっぷりと受けることで光合成が活性化し、太陽の恵みが幹や根など木全体に行き渡る。その結果、新芽が勢いよく芽吹き、花木であれば花付きが格段に良くなり、果樹であれば大きくて良質な実が成ります。
剪定を教えて下さった先達(樹木医)から、あれはニシキギの生垣をお手入れしていた時のことですが、「上っ面だけを刈るのではなく、風通しや日当たりを良くするため、はさみを中に入れ、透かして切る意義」を学びました。
『透かし』を含めて私の思う『剪定とは』はお客様のご要望とその樹木の健康状態と生育環境を考慮して今後その樹木が健やかに生育していけるように行う深い技術と経験が詰まったものになります。これを突き詰めると自ずと樹形が決まってきます。そして、それが自然風の樹形につながっていきます。『剪定』はこのように奥深いものでなければなりません。 しかし、大多数の人が行う「切り詰め」だけの『剪定』は単純作業になります。
『透かし剪定』は木を元気に美しく保つための基本であり、私の仕事の根幹です。『透かし剪定』は病害虫の発生を抑えることにもつながり、結果として木の健康寿命を延ばす行為でもあります。
・先月行ってきました、京都二条城の二の丸庭園です。


