キュビズムカット®でくせ毛の悩みをカバーするプロ日向理恵

キュビズムカット®でくせ毛の悩みをカバーするプロ

日向理恵

髪質、生えぐせ、頭の形に合わせて立体的にカットする技法で理想の髪型に

　「当店にお見えになるのは9割以上がくせ毛のお客さま。理想の髪型にならず、苦い経験をしてきたお客さまが、鏡を見て驚く瞬間は何よりもうれしいです」

　そう語るのは、札幌市に店舗を構える「美容室アリエッティ」の代表、日向理恵さん。自身も幼少期よりくせ毛で苦労してきたことから、同じ悩みを抱える人を笑顔にしたいと美容師の道を歩み、約40年のキャリアを持ちます。

　「私も子どもの頃はくせが目立たないようショートヘアばかりしていました。やりたいスタイルより、できるスタイルを選ばされ、落胆する気持ちはよく分かるので、カウンセリングでは『お客さまがやりたいスタイル』をしっかり聞き取ります」

　訪れるのは40～70代の女性が多く、長年縮毛矯正を繰り返してきた人も。薬剤と熱によりストレートにするため、髪への負担が大きい側面があります。

　「当店では、『キュビズムカット®』という髪が持つ特性を生かしたメニューを提案しています。兵庫県西宮市の美容師・田中孝典先生が発案した技法で、アメリカなど世界5カ国で特許を取得しています。髪質、生えぐせだけでなく、頭の形に合わせて立体的に形作るもので、ハサミや『クープルキュビ』という道具を使いますが、すきバサミは使いません」

　来店者は、これまで「縮毛矯正が必要」と言われてきたため、自分のくせを生かしてヘアスタイルができると知ると「まさか」と目が輝くそう。
　「ボブにしてみたい、パーマなしでふんわりとさせたいといった願いを持ちながらも、髪質のせいで諦めているんですよね。願いを取りこぼさないよう、どんな施術も意思確認は欠かしませんので、ご要望をぶつけてください」

はねたり、広がったり、くせが出る部分にアプローチするカットでミスマッチを防ぐ

　今やコンビニよりも多いと言われるヘアサロンですが、同時に廃業も目立ち、顧客の獲得競争は避けては通れません。しかし、巧みな技で希望に応じる日向さんのもとには、リピートやクチコミで訪れる人が跡を絶たず、待たせることがないよう完全予約制で対応しています。

　「『キュビズムカット®』で切った毛髪は断面がまっすぐではなく、毛先が習字の筆のようになっているので毛先が軽く、また頭蓋骨に沿って毛束の根元を起こしてカットしているため、毛先の収まりがよくなります。同時に毛量もコントロールすることもできるんです」

　1本1本、丁寧に切り分けて筆を増やしていくイメージで、ブローなしでも自然に髪が収まるのが特長だと言います。

　「はねたり、広がったりするのには必ず理由があります。まず髪の状態を見て、ぬらしたり乾かしたりして、くせの出方を確認します。原因となる部分に『キュビズムカット®』を施すまでを1セットとし、多いときは3回繰り返すので、初回のお客さまは時間が掛かりますね。回数を重ねて細やかに調整していくため、仕上がりのミスマッチが少なく、難しい髪質のお客さまほど効果を実感されます」

　うねりや左右の毛流れの差異を整えたり、つぶれやすい部分は根元が立ち上がるようにしたり、カットの力で数多くの悩みにアプローチし、まとまりがよく扱いやすい髪をかなえてきた日向さん。顧客からは「パーマをかけないパーマ屋」と評されているそうです。

自己研さんや情報収集に努め、ダメージを和らげるヘナを用いた髪質改善にも注力

　日向さんは2014年に「キュビズムカット®」を学び始め、現在も仕事の合間を縫って講習会に参加しています。時には関西まで足を運び、自己研さんと情報収集に努めています。

　「流行は変化するので、優れた技術でも完成形はないと感じています。それに、私たちがお迎えするお客さまも不変ではありません。食生活や病歴、習慣で髪質は変化しますから、前回と同じカットをしても異なる仕上がりになることもあるんです。変わり続ける髪を見極め、その時その時にできる最高のスタイルを創るのが美容師としての課題ですね」

　日向さんはダメージを和らげながらもおしゃれを楽しめるよう、髪質改善にも力を入れています。
　「当店ではくせ毛やダメージヘア、エイジングヘアの方のために世界でも最高品質の純国産ヘナカラー『美らヘナ』を扱っています。生産地である沖縄は台風や自然災害が多く、ヘナの生産量自体も少ないため大変希少な染料です。髪の毛の性質を熟知した美容師が畑の開墾から栽培、製品化、流通まで行っているため、体験するごとに髪の質や頭皮の状態が改善され、髪の色も自然な色合いで自分に合った色になり、白髪が目立たなくなっていくというメリットがあります」

　通うごとに自信がつき、明るい表情になって行くお客さまの変化を見るのが喜びだと、日向さんは笑顔を見せます。

　「お客さまは私を信じて髪という体の一部を委ねてくださるのですから、信頼に応えられるようスキルを磨き続けたいですね。日々進化する技術や薬剤を上手に活用して、いくつにもなっても生き生きと輝く姿を一緒に目指しましょう」

（取材年月：2023年8月）

髪の特性を生かす「キュビズムカット®」でくせ毛の悩みに寄り添う

髪質、生えぐせ、頭の形に合わせて立体的にカットする技法で理想の髪型に

はねたり、広がったり、くせが出る部分にアプローチするカットでミスマッチを防ぐ

自己研さんや情報収集に努め、ダメージを和らげるヘナを用いた髪質改善にも注力

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