プロフェッショナルの感性で、工事現場を支えるさまざまなシステムを開発（2/3）

夕張シューパロダム工事で骨材の積み下ろし場所を指示するシステムを構築。土木学会から表彰

　北海道室蘭市出身の佐藤さん。開業する前は札幌市の通信機器の会社に勤め、イベント警備で使う無線機の販売や、タクシーや運送会社を相手にした法人営業に従事していました。
　「父親の知人の紹介で入社し、役員まで務めましたが、携帯電話の普及などで無線が下火になっているのを肌で感じていました」

　転機となったのは、夕張市で1995年に着工した夕張シューパロダム。石や砂などの骨材を運搬するダンプカーを識別し、積む資材と荷下ろしする場所をデジタルサイネージに表示して各車両に指示するシステムを構築したのです。
　「ダム建設において骨材の運搬ミスは、工期の遅れなど深刻な事態につながります。無線販売で取引のあった大成建設から、7種類ある骨材の運搬業務を効率化できる方法はないかと相談されました。そこで、電波の送受信でICタグのデータを読み書きする『RFID』などを活用すれば可能なのではないかと考えました」

　これまで営業一筋だった佐藤さんにとって未知の領域でしたが、試行錯誤を繰り返して開発。「実装のため、朝5時に札幌を出て夕張に赴き、深夜に戻るという生活が3カ月ほど続きました。それだけに、任務が遂行できたときの達成感もひとしおでした」

　佐藤さんのシステムは高い評価を受け、ゼネコン担当者は九州の土木学会で表彰を受けました。「何よりも、現地で実務に就いた方々から『このシステムなしでは工事は進まなかった』とねぎらいの言葉をいただいたことがうれしかったですね」と目を細めます。

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