円安リスクにどう備える?~1ドル=200円時代の資産防衛戦略~
中小企業の社長にとって、自分自身の退職金準備は「老後の安心」と「会社の出口戦略」に直結します。
ところが現実には、営業で勧められるものと、本当に効果のある制度とでギャップが大きいのが実態です。ここでは3つの代表的な選択肢を整理し、それぞれの特徴と注意点をお伝えします。
① 小規模企業共済(個人で加入)
•社長や役員、個人事業主が「個人」で掛金を拠出
•掛金は月1,000円〜7万円、全額が所得控除の対象
•加入できるのは小規模企業(常時使用従業員が20人以下、商業・サービス業は5人以下など)
ポイント
•節税効果が大きく、退職時には退職所得控除を使えるため非常に有利
•ただし加入要件があるため、一定規模以上の会社では利用できない
•営業を掛けられることはほとんどなく、自分から動かないと始められない制度
② 企業型DC(確定拠出年金)
•法人で導入し、役員自身も加入できる
•掛金は法人拠出・選択制・両方の組み合わせが可能
•社会保険料の削減効果も期待できる(選択制を導入した場合)
ポイント
•拠出額は損金算入でき、法人税の節税効果がある
•運用益が非課税で効率的に資産形成できる
•小規模共済と同じく、営業で勧められることは少なく、自分から導入を検討する必要がある
③ 生命保険を活用した退職金準備
•法人契約の生命保険を利用し、退職時に解約返戻金を退職金原資にする方法
•保険料の一部が損金算入できる商品もある
ポイント
•実は最も営業されやすい選択肢
•しかし出口戦略が取りにくく、手数料も高いため、結果的に不利になるケースが多い
•「節税になる」と勧められて加入している経営者が多いが、実際の効果は限定的
まとめ
退職金準備は「どれを選ぶか」よりも「仕組みを理解し、自分から動く」ことが大切です。
営業に頼ると③の保険を選びがちですが、実際に有効なのは①小規模企業共済や②企業型DCといった国の制度です。
「営業されないけど実は効果が大きい制度」を正しく押さえることが、社長自身の将来を守る第一歩になります。



