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新しいNISAはどう変わる?資産倍増のために抑えておきたいポイントは?

2022年12月29日

テーマ:投資・資産形成

コラムカテゴリ:お金・保険

『新しいNISA』の制度概要が発表されましたね。
NISAやってますか?
老後2000万円問題あたりから若い世代を中心にNISAやiDeCoを利用した積立投資を始めた人が増えてきているように感じます。

日本証券業協会によると、2022年9月末の証券会社のNISA総口座数は1,144万口座で、年代別NISA(一般・つみたて)口座数は、 30歳代(233万口座)と40歳代(226万口座)となっています。

NISA口座数推移

年代別NISA(一般・つみたて)口座数

とは言っても、単純計算すると日本の成人人口を1億人としてNISA総口座数が1,144万口座なので、たった10%程度しか利用していない
たった10%程度しか利用していないことになります。
しかもNISA口座を開設したけど利用していない人も一定数いることを考えると、まだまだ日本で投資が一般的ではないことがわかります。

NISAやiDeCoを利用するもしないも自由です。
ただ国が
「資産形成を有利にできる制度を作ったから活用してね」
というメッセージを発信しているのに
「知らなかった」
「教えてもらってない」
とあとから文句を言わないことです。
自分で考えて行動しなければなりません。

というわけで今回のテーマは
『新しいNISAで資産を増やすために知っておきたいこと』
です。

このコラムを読めば、新しいNISAの概要と投資初心者が抑えるべきポイントがわかります。

結論を一言で言うと
『投資枠も期限も拡大されたNISAを利用しない手はない!』
です。

今度こそ日本が貯蓄から投資へシフトするのか


貯蓄から投資へ

そもそも
「NISAってなんなの?」
という人のために簡単に説明すると、NISAは『少額投資非課税制度』の名称です。

ですから銀行や証券会社に行って『NISA』を買うことはできません。
NISAを利用して投資信託などを購入することになります。
仮に100万円投資して3年後に150万円になったとすると、通常は利益に約20%が課税
(この場合、利益50万円で約10万円課税)され、売却すると約140万円が手元に残ります。
この約20%課税が、NISA制度では免除される制度です。

仮に500万円の利益がでれば、本来100万円課税のところが非課税になるのですから、資産形成に利用しない手はないです。

現行のNISAは

  • 一般NISA
  • つみたてNISA
  • ジュニアNISA

の3つあって、ジュニアNISAは2023年で終了、一般NISAは2階建ての『新NISA』として2024年からスタート予定でした。

今回の『令和5年度税制改正の大綱等』において2024年以降の『NISA制度の抜本的拡充・恒久化の方針』
が示されました。
令和5年度税制改正要望事項
上述の2024年スタート予定だった『新NISA』がちょっと複雑でしたが廃止され、NISAが1本化されてわかりやすくなりそうです。

『貯蓄から投資へ』『資産所得倍増計画』をスローガンに掲げているわけですから、制度がわかりやすくて使いやすいものであることは重要です。
その点で新しいNISAの1本化は評価できます。

新しいNISAは何が変わる?


若葉

2024年からスタートする『新しいNISA』はこれまでと何が違うのか。
新しいNISA(金融庁)
ざっくり言うと

  • 制度の恒久化
  • 非課税期間の無期限化
  • 年間投資枠・投資限度額が倍増以上

に変わります。

一つずつ解説していきます。

制度の恒久化

現行制度では制度を利用できる期間は一般NISAが2023年(2024年から新NISA)、つみたてNISAが2042年まででした。
これだと早く始めた人は非課税枠を多く使うことができて、あとから始めると非課税枠が少ない状況でした。

しかし2024年の『新しいNISA』では、制度はずっと使えるのでいつ始めてもよいと言えます。
すでに『一般NISA』や『つみたてNISA』を利用している人は、そのまま期限まで利用することができて、かつ『新しいNISA』を始めることもできるようです。

非課税期間の無期限化

現行制度では非課税期間が『一般NISA』は5年まで、『つみたてNISA』は20年まででした。
これが『新しいNISA』では無期限になりました。
20歳の若者が投資して、退職後(40〜50年後)に取り崩すような使い方も可能です。

年間投資枠・投資限度額が倍増以上


倍増

現行制度では『一般NISA」が年間120万円まで、『つみたてNISA』が年間40万円までです。
これが『新しいNISA』では、『一般NISA』にあたる『成長投資枠』として240万円(倍増)、『つみたてNISA』にあたる『つみたて』として120万円(3倍)になります。
年間総額360万円まで『新しいNISA』で投資ができることになります。

現状の『つみたてNISA』が年間40万円で12(ヶ月)で割り切れなかったのが、スッキリ割り切れる額になったのも地味に評価できます。

投資限度額は現行制度だと『一般NISA』が120万円×5年=600万円、『つみたてNISA』が40万円×20年=800万円です。
これが『新しいNISA』は1800万円(うち成長投資枠1200万円)になります。
現行制度の『一般NISA』と『つみたてNISA』は併用できません。
『つみたてNISA』の800万円と比較すると、倍以上の非課税投資ができることになります。

成長投資枠は一般NISAで上場株式に投資できたのと同じで、株式のみならず投資信託の積立投資での利用も可能です。

「投資限度額が1800万円なら、年間360万円の上限投資したらたった5年で使い切っちゃうじゃん」
という方もいます。
しかし年間360万円を投資に回せる一般家庭はごくわずかです。
月に5万円積立投資したとして年間60万円。
30年間ずっと続けたら使い切ります。
そういう人のほうが圧倒的多数でしょう。
ですから『新しいNISA』は決してお金持ち優遇制度ではなく、中間層の資産形成を支援する仕組みです。

投資限度額1800万円は「簿価残高方式で管理」とされていて、枠を使い切ったあと、一部売却すれば再利用が可能になりそうです。

投資の王道『長期・積立・分散』


積立投資

「投資をすれば確実にお金が増える、という保証はありません」
と言うと
「損するのは嫌だ」
「投資は怖い」
と捉える人が多いです。

しかしリスクを取るからこそリターンが得られます。
リスクが低い貯蓄ではリターンも低いのです。

そうは言っても大切なお金を、リスクを減らして増やせないものかと思いますよね。

そこで投資の王道『長期・分散・積立』投資から始めてもらいたいのです。

長期とは明確に○○年というものはありませんが、少なくとも10年以上は続けるイメージを持ってください。
できれば20〜30年続ければ資産はかなり高い確率で育ちます。
投資というと「安く買って高く売ればいいんでしょ」と考えている人も多いのですが、それができればみんなお金持ちですよね。
短期売買の世界はプロがたくさんいて、素人が戦ってもカモにされる確率が高い世界です。

分散は1社ではなく数百社、1業種ではなく多業種、1国ではなく数カ国に投資することです。
日本国内の知ってる数社の株式を買うよりも、世界の企業数百社の株式をまんべんなく買うのです。
それを自力でやろうとするととんでもなく手間がかかりますが、投資信託なら1本で世界中数百社の株式を保有するのと同じことができるのです。
そうすることで、アップルがだめでもテスラ、石油化学がだめでも医療、アメリカがだめでも中国、のように分散して投資します。
もちろん、コロナショックやリーマンショックのように世界経済が大きく落ち込むこともあります。
が、それでも経済活動は止まらないわけですから。

積立は毎月定額で投資することです。
そうすることで株価が急騰しようと暴落しようと、淡々と買い続けることができます。
心理的に高値づかみはしたくないですし、暴落中はもっと下がるかもと不安になります。
毎月定額積立なら、高い時は少ししか買えませんし、安い時はたくさん買うことができます。
この心理的安心感は投資初期にかなり重要な要素です。
また毎月積立投資することで、時間分散の効果もあります。
今日投資して明日暴落すると精神的にかなりキツいですが、積立投資なら今が高くても安くても関係ないのでいつからでも始めることができます。

まとめ


雪山

投資枠も期限も拡大された『新しいNISA』を利用しない手はありません。
投資の王道である『長期・積立・分散』投資、具体的には世界経済をまるごと買える低コストなインデックスファンド(投資信託)の積立投資から始めてみましょう。

2022年はインフレと円安で日本の購買力が一気に低下をしたのを感じた年でした。
島国が故に相対的にどんどん衰えている日本を感じにくいかもしれません。
しかし停滞する日本に対して、緩やかな成長を維持する欧米諸国、急成長をする東南アジア諸国。
このままではいずれ先進国から脱落し、新興国に追いつき追い越されていきます。

日本人が危機感を持って動かなければならないときです。
もしかすると、もう最後のチャンスかも知れません。
どんどん稼いで、どんどん使って、余ったお金を投資する。
何度も言いますようにお金は経済の血液です。
当分使う予定のないお金があるなら、手元から離れて世界中を旅させてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたプロ

吉井徹

投資歴10年以上、ファイナンシャル・プランニングのプロ

吉井徹(YOC)

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