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【朗報!?】年金受給が75歳からに?いつまで働けばいいの?

2022年2月19日

テーマ:年金

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: 年金給付ファイナンシャルプランナー 相談iDeCo


年金の受取は75歳から!?


老人

「年金受給が75歳から!」
と聞くと
「えー!?老後はゆっくり過ごせると思ってたのにいつまで働けばいいの、、、」
と絶望してしまうかもしれません。


ここでいう年金は老齢年金のことです。
原則として老齢年金は65歳から受け取ることができます。
「年金が75歳に引き上げられた」
というニュースは2022年4月以降は繰り下げ受給の年齢が最長で75歳になった
ことを指しています。

「年金の繰り下げ受給ってなに?」
「いつまで働けばいいの?」
そんな疑問を持つあなたのために今回のテーマは
「年金を繰り下げ受給すると得?目的と意味を確認しよう」
です。

このコラムを読めば
「年金を繰り下げ受給の目的と意味」
がわかります。

結論を一言でいうと
「年金の繰り下げ受給は働き方で考えるべし」
です。

長い老後にどう備えるか


おじいさん

人生100年時代と言われるようになりました。
ある海外の研究では、2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推計されています。

厚生労働省が発表した『令和2年簡易生命表』によると、60歳の平均余命が
男性:24.21年
女性:29.46年
となっています。
平均で男性が84歳、女性が89歳まで生きることになります。

主な年齢の平均余命
出典:厚生労働省 令和2年簡易生命表の概況

何が言いたいのかといいますと、これからどんどん老後が長くなることです。
「辛い仕事から開放されて、ゆっくり老後が過ごせるならいいじゃない」
と思うかもしれません。
しかし問題はお金です。

現在は多くの企業で60〜65歳で定年なので、例えば男性が65歳で定年すると、約20年は年金と貯蓄で生活することになります。
定年退職して年金をもらいながら貯蓄を取り崩す生活が20年続くわけです。

こう話すと年金2000万円問題を思い出す人も多いでしょう。
「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円」
「不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1,300万円、30年で約2,000万円の取崩しが必要」
ここから『年金2000万円問題』と大々的に報道されたわけです。

「老後のために2000万円も貯めないといけないの?」
「2000万円じゃ足りないって記事を読んだ」
と不安になった人も多いはずです。

ただこれはケース・バイ・ケースです。
夫が個人事業主(自営業)で妻が専業主婦の場合、国民年金(老齢基礎年金)なので夫婦の平均受給額は月額12万円程度です。
夫も妻も会社員の場合、(老齢)厚生年金なので給与によって保険料が違うので受給額が変わりますが、平均で月額27万円くらいです。

生命保険文化センターが行った意識調査によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費は月額で平均22.1万円です。

つまり前者のように国民年金のみだとかなり貯蓄して備えないと厳しく、後者であれば貯蓄があるだけ余裕のある老後生活が送れることになります。


会社員であれば所得にもよりますが、基礎年金と厚生年金を合わせて最低限の暮らしはできるでしょう。

個人事業主は基礎年金だけでは老後生活が成り立たないので、iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用して老後資金を備えることをオススメします。

個人事業主はiDeCoの掛け金が5,000〜68,000円、年間最大816,000円を非課税で運用できます。
原則として60歳まで引き出すことはできませんが、老後資金として備えるのが目的ですから「使ってしまわない」メリットとも言えます。

また掛け金は全額所得控除されるので、大きな節税効果があるのもメリットです。

年金の繰り下げ受給の大事な5つのポイント


お金

年金の繰り下げ受給ってどんな制度なのでしょうか。
覚えておきたいポイントはシンプルに5つ紹介します。

  1. 繰り下げ受給で年金を増やすことができる
  2. 老齢厚生年金と老齢基礎年金は同時に繰り下げる必要はない
  3. 「やっぱり繰り下げやめたい」にも対応できる
  4. 社会保険・税金・介護給付への影響に注意
  5. 損得で考えすぎない


繰り下げ受給で年金を増やすことができる

2022年4月以降、年金の繰り下げ受給年齢が最長で75歳になります。

「受給を75歳からにしたらもらえる期間が少ないから損なんじゃないの?」

受け取る期間は短くなりますが、年金受給を繰り下げる(遅らせる)と大きなメリットがあります。

75歳まで繰り下げると年金受給額がなんと84%も増額されるのです。

65歳で受け取る年金を月額10万円と仮定すると、75歳に繰り下げれば月額18.4万円になります。
その額は終身で受け取ることができます。

もう少し具体的に言うと、1ヶ月繰り下げるごとに0.7%ずつ増えます。

75歳まで(10年)繰り下げると
0.7% ✕ 120ヶ月(10年) = 84%

年金の繰り下げ受給
出典:日本年金機構 老齢基礎年金の繰下げ受給

老齢厚生年金と老齢基礎年金は同時に繰り下げる必要はない

会社員であれば厚生年金に加入しているので、受給要件を満たしていれば「老齢基礎年金」に上乗せして「老齢厚生年金」が受給できます。

この老齢厚生年金と老齢基礎年金は同時に繰り下げる必要はありません。
別々に繰り下げることも、どちらか一方だけを繰り下げることも可能です。



貯蓄額や収入によって判断することになります。

老齢基礎年金を繰り下げる場合、付加年金に加入していた人は付加年金も同率で増額されます。

「やっぱり繰り下げやめたい」にも対応できる

年金受給額を増やすために、例えば70歳まで繰り下げるつもりだったけど、急にまとまった資金が必要になった。
そんな場合はまとめて受給することが可能です。

年齢的にも健康に不安を抱える状態になることも考えられます。
「70歳まで働くつもりだったけど、働けなくなって収入がなくなってしまった」
という場合もあるでしょう。

例えば「68歳まで繰り下げて増額した年金を受取る」か「増額なしで65歳にさかのぼって請求」のどちらかを選ぶことができます。

ただ注意しなければならないのは、年金を一度請求すると撤回はできないことです。
「やっぱり受給額を増やしたいから繰り下げたい」
はできないので、どのタイミングで受給するかは慎重に選ばなければなりません。

社会保険・税金・介護給付への影響に注意


計算機

繰り下げで受け取る老齢年金が増えると、社会保険料や所得税の負担が増える場合があります。

高齢者であっても年金以外の収入がある場合は、社会保険料や税金の負担が増えることになります。

年金は損得で考えすぎない

「早くもらったほうが得」
「繰り下げ受給でたくさんもらったほうが得」
どうしてもこういう議論になりがちです。

しかし老齢年金は長生きに備える保険なのです。
貯蓄ではなく保険です。
ここを間違えないことです。



「現役時代にたくさん保険料を払ってきたのにもらえなくて損」
ではないのです。

あなたは火災保険に加入して
「家事になって全焼しなかったから保険金がもらえなくて損」
と文句を言いますか?

みんなで保険料を払って不運にも火事になってしまった人を助けるための保険ですよね。
自動車保険も同じです。

なぜ年金だともらえないと損と考えるのでしょうか。

「体の調子が悪く働けなくなって収入がなくなってしまったけど長生きしてしまった」
そんな人を支える制度です。

ですから健康で働ける人は働きましょう、というのが現在の国の方針です。
今は元気な70代はたくさんいますからね。

「つらい仕事に耐えているのに死ぬまで働かせるのか!」
という人は、働き方を見直したほうが良いかもしれません。
多くの人が人生の大部分を仕事に費やしています。
その仕事が楽しくなくイヤイヤ取り組んで、生活費を稼ぐために我慢する。
「1億円もらったらどうしますか?」
と聞かれれば
「仕事をやめます」
と即答するような人であれば、65歳になったら健康で働けるけど年金を受給するでしょう。

その考え方、働き方を否定するわけではありません。
でもこれからの時代は健康で楽しく長く働けることです。
自分が得意なことで人の役に立つものを仕事にすることを模索しておけば、健康なうちは苦もなく長く働けるはずです。

まとめ


風景

年金を繰り下げれば受給額を大きく増やすことは可能です。
しかしそれまで働いて収入を得続けるか、貯蓄を取り崩して生活することになります。
健康で長く働き続けることができるのが理想です。

そのためにはストレスなく楽しく働ける仕事を見つけておくのがオススメです。

老齢年金は貯蓄ではなく『長生きに備える保険』です。
64歳で死んでしまったらもらえなくて損
65歳から100歳までもらえれば得
と考えてしまいがちです。

それよりも「長生きしてしまった場合の保険」と考えるべきでしょう。

まずは年金定期便で自分の受給額について調べてみましょう。
50歳未満の人に届く年金定期便は、年金定期便の作成時点で集計した加入実績をもとにして作成されています。
正確な情報は年金事務所に相談してみることをオススメします。
日本年金機構 全国の相談・手続き窓口

この記事を書いたプロ

吉井徹

投資歴10年以上、ファイナンシャル・プランニングのプロ

吉井徹(YOC)

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