日本1点張りで大丈夫?国際分散投資のメリットとは
株価はどこまで上がり続ける?そろそろ暴落?
日経平均株価は執筆時点で年初来約6%プラスです。
何度か3万円の壁は越えるのですが、いまいち伸びていません。
しかし世界に目を向けると、例えば米国株のダウ平均株価は年初来約19%プラス、S&P500は年初来約27%プラス
です。
これだけでピンと来ないなら例えば年始に100万円それぞれの指標に連動する投資信託を購入したとします。
それが2021年12月の時点でざっくり言えば
日経平均:106万円
ダウ平均:119万円
S&P500:127万円
になっているんです。
日米でかなり大きな差がありますね。
S&P500は今年約70回もの最高値を更新
しています。
コロナショック前と比較してもグングン上昇しています。
すでに投資を始めている人なら資産がどんどん大きくなってニヤリとしているかもしれません。
または「そろそろ暴落するかもしれないから今のうちに売って利益確定するべきかも」と考えているかもしれません。
一方でまだ投資を始めていない人は「この波に早く乗らなければ」と焦っているかもしれませんし、「株価が上がりすぎてるから近いうちに暴落するんじゃないか。それから始めよう」という人もいるでしょう。
投資で避けて通れないのが暴落です。
いつかは必ずやってくる暴落ですが、一般投資家がそれを予測することは困難です。
というわけで今回のテーマは「株価の暴落は10年前後に1度は起こる。しかしそのタイミングはわからない」です。
株価が好調なときは次々と投資に参加する人が増えます。
しかし暴落すると「もう投資はこりごり」と退場する人が増えます。
このコラムを読めば
- 暴落時に慌てない方法
- 暴落時の考え方
がわかります。
結論を一言でいうと「暴落時は慌てず10年や20年、長い期間のチャートを見よ!」
です。
暴落を気にしないことは可能か?
投資で避けて通れない暴落。
しかしいつかは必ずやってきます。
それを理解していても自分はなんとかそれを避けたい。
これは行動経済学でプロスペクト理論(損失回避性)といいます。
例えば次の質問に答えてみてください
どちらかをえらんでください。
A.無条件に1万円もらえる
B.コインを投げて表が出たら2万円もらえるが、裏がでたらお金はもらえない
この質問に対して多くの人はAを選択します。
確実に1万円を手に入れようとし、何も得られない可能性(損失)を回避します。
ではこちらの質問はどうでしょう。
あなたは無条件で1万円を手に入れました。どちらかを選んでください。
A.コインを投げて表がでたらさらに1万円がもらえるが、裏が出たら手元の1万円は没収される
B.コイン投げは行わない
こちらはBを選択する人が多いです。
コインを投げて裏が出ても無条件で手に入れた1万円がなくなるだけ(元にもどるだけ)ですが、手に入った1万円の損失を避けたくなります。
これを投資に当てはめて考えれば、暴落に対する人間の行動が予想できます。
すでに投資している人が
「そろそろ暴落するかもしれないから今のうちに売って利益確定するべきかも」
と考えるのも損失回避性からです。
しかし売却した日の株価が今後30年間で最安値、つまり上昇し続ける可能性もあるのです。
これから投資を始めようと考えている人が
「株価が上がりすぎてるから近いうちに暴落するんじゃないか。それから始めよう」
こちらもやはり損失回避性です。
実際に暴落が起こって投資を開始するかというと
「もっと下がるかもしれない」
と考えてしまうのです。
多くの人は損をしたくないと考えるのが普通です。
損をするくらいなら現状維持を望みます。
「暴落を気にするな」
と言ってもほとんどの人が平常心を保てません。
ではどうすればいいのか。
長期投資の心構えとして重要な3つを紹介します。
①短期でみればチャートは乱高下する
投資をしていたり、興味があれば株価のチャート(グラフ)を見たことがあるはずです。
ニュースで「今日の日経平均株価は〜、ダウ平均株価は〜」など耳にしたことがありますよね。
まず日経平均株価の年初来チャートを見てみます。
3万円を超えては下がりを繰り返しています。
もしかすると「10月上旬にどーんと下がったところで買っておけばよかったな」と考えたかもしれません。
しかしそれは今だから言えるセリフです。
実際コロナショックの時にどんどん下落する中、買い増しできたのはほんの一部の人です。
ではコロナショックを含む5年間のチャートを見てみましょう。
「ひゃー恐ろしい」と思いましたか?
わずかの期間で株価が30%下落しました。
しかし御存知の通り、その後は驚くべきスピードで株価は急回復しました。
「もっと下がるかもしれない」と慌てて売った人は再び投資するタイミングを見失っているでしょう。
さらに日経平均株価が最高値をつけたバブル期を含む約30年間のチャートを見てみます。
こうしてみるとバブル期の過去最高値更新まではまだ遠そうですね。
しかし例えば2000年頃のITバブル崩壊時には1万円を割っていたわけですから、リーマンショックもコロナショックも乗り越えてきているのがわかります。
ちなみにアメリカの株価指数S&P500の約30年間のチャートはこちら。
日経平均と比較するとものすごい伸び率ですね。
ここで言いたいのは米国株が良いとか日本株はダメなんてことではありません。
どちらもリーマンショックやコロナショックを乗り越えてきている、長期でみれば数年ごとに大きな下落は当たり前にやってくることがわかるはずです。
②日本は少子高齢・人口減少社会だが、世界人口は増加する
- 国の借金が増え続ける
- 少子高齢化が進む
- 所得が増えない
など明るい未来を想像できないと考える人が多いです。
しかし世界に目を向ければ今後もしばらく人口は増加しそうです。
国連経済社会局の世界人口予測「World Population Prospects 2019」(WPP2019)によると、世界人口は2100年の109億人でピークとしています。
アジア諸国には人口ボーナス期(15~64歳の生産年齢人口が、それ以外の従属人口(0~14歳、65歳以上の人口)の2倍以上ある状態)である国も多いです。
これらの国は急速に経済が発展していきます。
世界全体で見れば今後も緩やかに経済成長を続けると考えるのが自然です。
③人類はより豊かで便利で快適な生活を求め続ける
コロナは新たな変異株があらわれ、まだまだ収束が見込めません。
今後も人類はさまざまなウイルスと戦っていくことになるでしょう。
異常気象や災害、食糧不足などさまざまな課題も降りかかるでしょう。
しかし人類は長い歴史を振り返っても様々な困難を乗り越えてきました。
きっと未来は今より良い暮らしになっているはずです。
以前、セミナーを受講した際にコモンズ投信の渋澤健会長(渋沢栄一の玄孫にあたるそうです)がこう言っていました。
「投資とは未来を信じる力」
であると。
人類がよりよい暮らしを望む限り経済は成長しつづける。
私はそう信じています。
まとめ
もしも暴落がやってきた時はできるだけ長い期間のチャートを見てみましょう。
長い期間でみれば暴落もちょっとした調整期間に見えるはずです。
株価は下がり続けることも上がり続けることもありません。
短期的に見れば投資家心理が複雑に絡み合って頻繁に値動きします。
1年で30%上昇することもあれば、その逆もありえます。
しかし長期で見れば、世界経済は3〜4%程度上昇します。
暴落があっても高騰があっても、長期的にはその数値に近づいていくわけです。
投資の格言で
「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」
米著名投資家ジョン・テンプルトンの言葉です。
さて、あなたは現在の世界は「悲観・懐疑・楽観・陶酔」のどれだと思いますか?
簡単にできることは、世界の株価指数を10年以上の期間で見てみましょう。
Yahoo!ファイナンス(日経平均株価)
○○ショックが長い目で見れば微々たる下落であることがわかるはずです。
とは言ってもわずかな期間で金融資産が半減するのはショックが大きいものです。
まとまった資金を投資するなら期間を分散(例えば1000万円の資金を5年かけて、年間200万円ずつ、つまり月額約17万円を60ヶ月積立投資)するのが精神的にはラクでしょう。
定額で積立投資をしていれば暴落がきても「安くたくさん買えている」と考えることができます。
給与所得を得ているなら、手取りの10〜20%程度を目標に自動引落・積立投資するのが取り組みやすいのでオススメです。