家計相談する前にバランスシートで健全度をチェックしよう

吉井徹

吉井徹

テーマ:投資・資産形成

高収入でも資産1億円でもお金持ちとは限らない


住宅

年収1000万円と聞くとあなたはお金持ちだと思いますか。
確かに日本では高収入な人に分類されます。
しかし豪邸に住んで高級車に乗り毎日外食、子供は私立学校に通っていると、、、
当然支出は高額になり全く貯蓄ができていない可能性もあります。

年収1000万円でも年間支出が900万円だと手元に残るのは100万円。
年収500万円でも年間支出が300万円だと手元に残るのは200万円です。

必ずしも高収入=お金持ちではなく、高収入で高支出な人が多いのです。

企業で考えてみましょう。
年間売上100億円!
すごい!と思いますか。
しかし経費が200億円かかっていれば−100億円の損失です。

年間売上1億円だけど、経費は1000万円しかかかってなければ、年間利益は9000万円ですね。

では個人で資産1億円を持っている人はお金持ちでしょうか。
現預金、金融資産、不動産などを合わせて1億円あったとしても、負債が3億円あればその人は債務超過状態です。

資産全てを売却しても負債を返済しきれない状態です。

一方で個人の資産が1000万円しかなくても負債が10万円しかなければ、先程の資産1億円持っている人よりも家計が健全と言えます。

企業であれば財務諸表を利用して、自社や取引先の経営実態を把握します。

あなたの家計は健全な状態でしょうか。
「いや、ちょっとよくわからなくて、、、」
そんなあなたはバランスシートを作れば家計状況がわかります。

そんなわけで
「家計相談する前にバランスシートで健全度を確認してみよう」
がテーマです。

これを読めば家計のバランスシートの作り方と注意点がわかります。

結論を一言でいうと
「お金のことでなやんでいるなら、まずはバランスシートを作ってみよう」
です。

住宅ローンは大きな負債だけど


電卓

あなたが住宅ローンを組んでいるなら大きな負債を抱えていることでしょう。
と同時に住宅(不動産)という資産も持っています。

大きな借金があると不安になってしまいますが、家計全体を可視化することで見直すべきポイントがはっきりします。

私も住宅ローンを組んで家を建てたので、資産と負債の状況を確認するのが重要と感じています。

そこでバランスシートを作成することをオススメします。

バランスシートとは


簿記

貸借対照表とも呼ばれるバランスシート。

貸借対照表は、企業のある一定時点における資産、負債、純資産の状態を表すために複式簿記と呼ばれる手法により損益計算書などと同時に作成され、その企業の株主、債権者その他利害関係者に経営状態に関する情報を提供する。

出典:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/貸借対照表


簿記を習ったことがあったり、会社の経理を担当していれば馴染みがあると思います。

「何のことかサッパリ、、、」
というあなたのために簡単に説明します。

バランスシートは大きく左側と右側に分かれます。

左側:資産
右側:負債と純資産


貸借対照表

資産の具体例は現金や預貯金、株式など有価証券のみならず、住宅(不動産)や自動車なども含みます。

負債の具体例は住宅ローン、自動車ローン、カードローン、奨学金(返済)などです。

バランスシートはその名の通り、左側と右側の合計が必ず一致しなければいけません。
よって『純資産 = 資産合計 - 負債合計』となります。

純資産がマイナスになった場合は債務超過です。
総資産に占める純資産の比率(純資産比率)が高いほど健全な家計状態と言えます。

価値が変化するものは時価で評価する


家

家計のバランスシートを作成するときにちょっと難しいのが不動産価値です。

車の現在価値は中古車情報をみれば大体予想できますよね。

ほとんどの住宅は購入してから時間が経過すると価値が減少していきます。
「10年前に3000万円で購入した自宅の現在価値はいくらなんだろう」
と考えてしまいます。

1つの方法は周辺物件の価格を調べることです。
ネットで不動産情報を調べれば周辺エリアで自宅と似たような条件の売り出し価格がわかります。

もう1つの方法は不動産査定してもらうことです。
不動産査定・売却のイエウールなど一括無料査定で自宅の価値を調べることができます。
しつこい営業はないとされていますが、電話でのやりとりは必要です。
「すぐに売るつもりはないが、資産形成を考えるために自宅価値を知りたい」
と言えば、不動産業者も無理な要求はしてこないはずです。

正確な価格はわからなくても大丈夫です。

ちなみに有価証券はバランスシート作成時の価値で、購入時の価格ではありません。

家計のバランスシート
出典:日本FP協会


純資産に注目する


虫眼鏡

バランスシートが完成したら純資産に注目しましょう。

純資産がマイナスであれば、負債を減らすか資産を増やす、またはその両方に取り組むべきです。

純資産がプラスであれば一安心です。
純資産比率を高めることができれば、もしものときにも不安が少なくなります。
負債を増やさないよう資産を増やして純資産を増やしたいですね。

仮に負債が1億円あったとしても、資産が3億円あれば純資産は2億円です。
資産を全て売却すれば負債を返済しても2億円残ります。
この場合の純資産比率は2億円/3億円で約66%ということになります。

企業会計では自己資本比率(純資産比率)が40%以上で優良と言われます。
家計では50%を一つの目標とすると良いでしょう。

年に1度はバランスシートをチェックする


チェックリスト

バランスシートを1度作って終わり、ではありません。

年に1度は資産と負債を入力しなおして、純資産の増減を確認しましょう。

負債が多い方は利息の高いものから返済します。
近年住宅ローンを組んだ方は低金利で借りることができているので、純資産比率が高いのであれば無理に繰り上げ返済する必要はないでしょう。

こう考えれば資産価値が上がる住宅を手に入れることが理想ですが、そう簡単なことではありません。
史上最低金利の住宅ローンですが、無理な購入は後々苦しくなる可能性があります。

私としては収入の一部で低コストのインデックスファンド(投資信託)でコツコツ積立投資して、金融資産を増やしていくことをオススメします。

まとめ


風景

家計のバランスシートの作り方と注意点についてお話しました。
実際に作成してみることが大切です。

簡単な方法は2つあります。

1つは私も利用しているマネーフォワードMEという家計簿アプリを使うことです。
銀行口座や証券口座などは連携すれば自動反映されます。
自宅(不動産)は手動入力する必要があります。

無料プランもいいのですが、月額500円で銀行・クレジットカード・ポイントなど11口座以上と連携できますし、長期のデータを閲覧できます。
お金の管理がとてもラクになるので便利です。

このマネーフォワードMEでバランスシートを見ることができます。

マネーフォワード
アプリ版ではなくWEB版で閲覧できます。

ちなみに私は純資産比率が現状で約60%でした。

もう一つは自分で一つずつ資産や負債を入力するなら日本FP協会のツールが便利です。

家計のバランスシートがPDFとエクセルでダウンロードできます。
手書きでも入力でもお好きな方をどうぞ。

年に1度はバランスシートをチェックして、順調に純資産を増やしていきましょう。

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吉井徹
専門家

吉井徹(ファイナンシャルプランナー)

YOC

会社財務と経営者の個人資産を両輪で考え、企業の発展と理想の人生をかなえるお金の仕組みづくりをサポートする「法人顧問FPサービス」を提供。中小企業オーナー経営者のお金の悩みに寄り添い、解消へと導きます。

吉井徹プロは中国新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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