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和解について

今枝仁

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 最近テレビを見ると、市川海老蔵さんの事件について賑やかです。水面下で示談の話が進んでいるのではないか、とも言われています。

 示談という言葉は、どちらかと言えば俗語的であり、弁護士は「和解」という言葉を使うことが多いと思います。

 ただし、和解とは双方が譲歩して紛争を解決することが要件ですが、示談とは必ずしも双方が譲歩するとは限らず、一方が全面的に譲歩する場合であってもよいとされています。
 
 和解は、双方の合意による契約の一種で(民法695条)、大きく分けると、裁判上の和解と、裁判外の私法上の和解に分かれます。
 要件としては、
  ①当事者間に争いが存在すること
  ②当事者が互いに譲歩すること
  ③争いを解決する合意をすること
とされています。

 紛争があり裁判になっても、判決により強制執行の手続によるのでは双方負担とリスクがありますし、途中で和解が成立することはかなり多く、紛争の半分以上は和解で終了しているとも言われます。

 和解は、自らも譲歩しなければなりませんが、負担とリスクを回避することができ、早期解決するばかりか、多くの場合は紛争相手との関係が一定程度改善されるというメリットがあります。

 さらに私は、「和解とは、自分自身の心との和解でもある」と思います。
 
 紛争を抱え、弁護士に依頼する方の多くは、その紛争に捕らわれた状態です。判決と強制執行により金銭的補償を得ることも大事ですが、あえて和解することによって、紛争相手と和解し、事件と和解し、自分自身と和解するのだと思います。

 医療過誤の本人や遺族の多くは、医療機関や医療従事者を憎むことで、自分自身の後悔や自責の念を投影していることがあります。医療にミスや問題があったとされることで、金銭的補償に加え、囚われた自分自身の心を解放してほしいという願望が窺える場合もあります。

 仮にそのような複雑な心理が解消して楽になるのであれば、例え金銭的利益が減ったり不利益があったとしても、早く和解することのメリットは計りしれません。

 和解は、事実関係を曖昧なままで終わらせるという欠点があるようにも言われますが、和解解決をすることにより、自分自身の心と和解することができたのだろうと思える依頼者も少なくありません。

 私は、成功度の高い順に、
  ①和解解決
  ②勝訴判決
  ③敗訴判決
だと思っています。
 
 医療過誤・事故事件については、①が14件ほど、②が今のところゼロ、③も今のところゼロ、そのほかに訴訟取り下げが1件となっていますが、自分では誇るべき成果と思っています。

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今枝仁
専門家

今枝仁(弁護士)

今枝仁法律事務所

今枝仁は、東京地方裁判所刑事部事務官、東京地方検察庁検事、弁護士となってからも公益社団法人広島被害者支援センターの監事を務めており、いろいろな角度から数多くの事件や当事者を見てきました。

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