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信用保証制度の見直し案について

石田雄二

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テーマ:銀行融資・補助金

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『信用保証制度の見直し案について』
…今後の中小企業金融の方向性を解説します。
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政府の中小企業金融政策で最も重要な役割を果たしているのが
信用保証協会です。信用保証制度は時代の流れとともに、その
役割を少しずつ変化させてきました。近い将来、信用保証制度
がどのように変化するのか、2016年12月に有識者会議でまとめ
られた報告書から読み取ります。

信用保証制度とは、中小企業が金融機関から融資を受けやすく
するため、金融機関に対して信用保証協会が債務を保証する制
度です。金融機関にとっては、いざという時には国が返済して
くれるため、企業の信用力が低くても、安心して融資をするこ
とができます。

しかし、金融機関にリスクが全くないため、信用保証付き融資
のみの企業に対して、支援姿勢が弱くなるという傾向が見られ
ました。よって、平成19年から、保証割合を100%から80%に
改正し、金融機関も20%のリスクを取るよう変更されています。

以降、この保証割合を80%からさらに減らしていくことが大き
な論点となってきましたが、2016年12月にまとめられた報告書
で最終的な概要が見えてきました。

■ リスク分担について
保証割合は現行のまま、80%が保証協会、20%が金融機関とい
う結論です。理由は、保証割合を変更するのではなく、企業の
借入全体に占める金融機関のプロパー融資の割合で、実質的な
リスク分担を行う方が有効だという判断です。

他にも、企業のライフステージ各局面における施策についてま
とめられました。

1.創業期の施策
過去の実績など、事業リスクを判断する材料がないため、金融
機関は創業企業に融資をしにくいという課題があります。一方
で、創業期は、事業を軌道に乗せるまでに相当程度の資金を必
要とするため、創業者向け保証制度の限度額が、1,000万円から
2,000万円に拡充される見込みです。

2.拡大期の施策
事業を拡大するための設備資金や増加運転資金が必要となる局
面です。先行投資により収益が一旦悪化しますが、中小企業か
ら中堅企業に成長発展する過程においては、一定程度のプロパ
ー融資を確保し、保証への依存度を下げることが望ましいとさ
れました。保証協会からの卒業をうながしています。

3.持続的発展期の施策
中小企業の中でも、とりわけ小規模事業者の場合は、信用力が
低くプロパー融資が十分に行われない恐れがあります。よって
小規模事業者向け保証制度の限度額が1,250万円から2,000万円
に拡充される見込みです。

4.再生期等
限度額まで借入を行っているにもかかわらず、経営上の課題が
残されている場合も多く、新規資金の調達が困難な状況です。
プロパー融資の維持など、金融機関の支援姿勢が確保できてい
る前提で一定の支援がなされます。また、円滑な撤退を可能と
するための保証メニューの充実なども検討されるようです。

5.危機時の対応
自然災害、不況業種等の支援策として、保証割合が100%のセ
ーフティネット保証がありますが、不況業種への保証について
は、100%保証が活用し続けられると、企業の経営改善が進ま
ないこととなりかねないため、不況業種へのセーフティネット
保証制度は、保証割合が100%から80%に改正される見込みで
す。

今回の改正により見えてきた方針は、創業期は政府主導による
支援、そこから成長発展していく企業は民間金融機関がプロパ
ー融資で支援、そのまま小規模事業に留まる企業は引き続き政
府主導による支援、再生段階にある企業は金融機関主導で選別
を強化する流れと感じます。創業を歓迎し、不況業種への支援
体制は薄く、再生期の企業が撤退しやすい環境を整え、新陳代
謝を促す動きが加速しそうです。

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石田雄二
専門家

石田雄二(税理士)

石田雄二税理士事務所

単に安いだけでなく、創業後の会社の管理体制構築までサポートします。また、税理士だけでなく、社労士も在籍しているため、助成金の獲得支援を強みとしている点も好評です。

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