『年商対比で、今より10%多くの運転資金を持ち続けることをご提案します。』
■「過去の判断の結集が今日の経営の実態です。」
(京セラ名誉会長・稲盛和夫氏)
過去の判断が総じて正しければ、今日はうまく行っているはず
です。逆に、過去の判断に間違えが多ければ、今日の経営はう
まく行っていないはずです。
未来に向かっての判断の結集が、未来の経営の良し悪しを決め
ます。未来に向かっての判断の精度を高めて行かねばなりませ
ん。
経営者(人)は、毎日多くの判断を下しています。
(一週間に136との統計値もあります。出所が定かではあり
ませんので参考程度に考えてください。)
経営者の一番の仕事は判断することです。
■判断の精度を向上させるための留意点について考えてみまし
ょう。
◆その1:判断の対象を絞ること。
日々多くの判断を迫られる中で、判断の精度を高いレベルに維
持するためには、判断すべき対象の絞り込みが必要です。この
時に参考になるのが、パレートの法則です。大切な20%の事
案に集中してエネルギーを注ぐこと、つまらない事案に多くの
時間を費やさない、との戒めになります。
人はその重要性よりも、感情や感覚を優先してしまいがちです。
嫌なことから逃げ、好きなことに関わる…注意が必要ですね。
重要性の原則に沿って、判断材料を選別してください。
○「パレートの法則=20対80の法則」とは…
『判断の20%が80%の結果を生み出している。』とする法
則です。(イタリアの経済学者、ヴィルフレド・パレート)
◆その2:感情ではなく理性を基準に判断を下すこと。
経営者(人)は、何を基準に判断しているのでしょうか?
稲盛和夫氏(京セラ名誉会長)は、以下の基準を挙げておられ
ます。
・一番程度の低い判断基準は『感情』。
・次の基準は『感覚』。
・その上の基準は『理性』。
と述べられた上で、『理性』は(本当は)判断基準にならない
と、くぎを刺されておられます。『理性』は判断材料を提示す
るものであって、判断基準は他にあると…。
稲盛和夫氏は、最上級の判断基準を『魂』とおっしゃっておら
れます。多分、『集約された知見』のことだと、解釈できます。
『理性で整理された判断材料を基に、知見で判断する』…こう
解釈できます。
人は、感情に支配された判断や行動を時に選択します。激情的
な感情が心を支配して、とんでもない判断や行動を起こしてし
まいます。また、些細な感情のしこりに惑わされた判断を下す
こともあります。
感情に支配された状況での判断は、総じて間違えが多くなりま
す。少なくとも、理性に支配された状況で判断を下すことが必
要です。
体調が悪い時、機嫌が悪い時には判断しない、この決め事も有
効ではないでしょうか。
■整理します。
1.たくさんの判断すべき対象に対して、総花的に向かい合う
のではなく、重要事案に集中して対応しましょう。
『判断の20%が80%の結果を生み出している。』パレート
の法則を思い出してください。
2.『感情』を基準に判断しないように心がけましょう。
『理性で整理された判断材料を基にした知見』を基準に置きま
しょう。
体調が悪い時、機嫌が悪い時には判断しない、この決め事も有
効ではないでしょうか。
自社・自分の未来を決める「今行っている判断」の精度を、意
識して向上させましょう。特に、判断に感情を出来るだけ持ち
込まないこと、重要な判断は体調と心を整えてから行うこと、
この二点はコツとしてご理解ください。