会社の実印のケース 【会社の印章コラム13】
印章彫刻の基本とは字法・章法・刀法
印章の基本とは、字法・章法・刀法を言います。
字法とは文字の歴史をふまえ、確かな文字の知識によって美しく正確な造形をなすこと。
章法とは法則に則った正しい文字の配分とバランスを得ること。
刀法とはたゆまぬ研鑽により磨かれた技術により彫刻することです。
技術をきちんと持った信頼のおける職人によって彫刻されることが印章の基本です。
印章の真・善・美
本来、字法・章法・刀法を兼ね備えた印章は「真・善・美」を備えているものです。
私が師事した藤本胤峯先生は「印章は美学である。美のあるところに徳を生じ、善を招く」と言われています。
私の考える真善美とは・・・
【真善美】
真とは学問・学術
善とは道徳・倫理
美とは芸術・美学
認識上の真と、倫理上の善と、審美上の美。
人間の理想としての普遍妥当な価値をいう
真(正しさ、正確さ、また欺かないこと)⇔:偽,
善(道理、道徳にかなうこと)⇔ :悪,
美(内容が充実してすばらしいこと) :⇔醜
認識上における真
文字学を学び、字源を知り、初めて篆書(てんしょ)を印に用いることが可能になります。
篆書は帝王の文字であり、2000年以上前に生まれて以来、印章の王道は篆書に尽きます。
それこそ「真」といえるもの。
これを知らず印を作ると誤字、嘘字の羅列となり、「真」があるとは言えません。
倫理上における善
文字を学び、彫刻技術を身に付けひたすらに良いものを提供せんとするのが良識ある職人のあり方です。
それこそが「善」
一方、コンピュータでデザインし、機械で彫った印をあたかも自分でデザインし、
手で彫ったかのように宣伝する業者もおり、これを善とはいえません。
審美上における美
正しい文字を印面にいかに美しく布字する(書き込む)こと。
そこに最も多くの時間を割き、時には何度も何度も書き直します。
そして納得がいくまで印稿を練ったら彫刻に移ります。
ここで初めて刀をとり一心に印材に向かって彫ります。
美しい印稿(文字のデザイン)を美しく彫ってこそ「美」が生まれます。
伝統的な印篆(いんてん。印鑑に使う文字の一種)で真面目に彫った印は重厚あるいは厳格、人が人生を共にするにふさわしい堅実な印章であります。
しかし時には人の人生を左右する印章に易学を応用することもあります。
これは一種の処世術であり、使う人を勇気づけるものです。
間違いの無い字法、易学にも則った吉祥の章法で美しくデザインされ、卓越した刀法で彫られた印には「真善美」が備わっていると言えます。
せっかく作るなら吉相の印章を
姓名学や気学など学に則って易学上最も良い運勢を導くように彫る印章を吉相鑑定印と言います。
生年月日から補強する部位を確認し、彫る名前の画数に、文字と輪郭の接点数を加え、
その数が吉数になるよう文字を配して彫刻する接点増画法によって印稿を練り上げます。
字法・章法・刀法に優れ、そのうえ、接点増画による吉相の手法で彫刻されたものが
最良の吉相印と言えます。
迷信印に惑わされないように
易学に頼むことは一種の処世の方法であります。
しかし、本来の印章学を知らないで、易学のみに頼って彫刻したものは誤字を招き、
印としての品格のない醜悪なものになりかねません。
このような印章は本筋を見失ったものであり、迷信の印と言わざるを得ません。
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