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第1回 住宅の耐震性 全2回

深澤一喜

深澤一喜

テーマ:法律では最低限

「耐震等級3」は数字より中身|まず知っておきたい、建築基準法と耐震等級の関係


深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜です。群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市、玉村町、高崎市、渋川市、北群馬郡で、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の家を、新築・リノベーション・リフォーム工事で手掛けています。設計事務所を併設した、心地よい快適な家をつくる大工工務店です。

今回から2回に分けて、「耐震等級3」という言葉の中身について書きます。第1回は、建築基準法と耐震等級の関係、そして私がなぜ構造のルールにこだわるのか。第2回は、同じ「等級3」でも確かめ方が違うという話と、数字の裏にある設計の考え方、家を建てる前に確認してほしいことを書きます。

先日、許容応力度設計のセミナーを受講してきました


先日、公益財団法人 日本住宅・木材技術センター主催の、演習で実践的に学ぶ「木造軸組工法住宅の許容応力度設計」セミナーを受講してきました。全国4会場で開かれ、私が参加したのは東京会場(霞が関)です。講師は、1日目が東京大学名誉教授の稲山正弘先生、2日目が木構造技術センター センター長の小谷竜城さんでした。

昨年の法改正で構造計算の必要性を感じている同業者が多いのでしょう。会場は満席でした。

設計者のあいだで「グレー本」と呼ばれている本があります。正式には『木造軸組工法住宅の許容応力度設計』という、木造住宅の構造計算の進め方をまとめた本で、表紙の色からそう呼ばれています。その2025年版が出たこと、そして当社の新築住宅が基本仕様に許容応力度計算を含めていること。この2つがあって、一度基本から学び直したいと思っていました。

この連載の主役になる言葉を、最初にやさしく言い換えておきます。許容応力度計算とは、地震や風、雪、建物と家具の重さなどで家にかかる力を一つひとつ計算して、柱・梁(はり)、接合部の一本ずつが、その力に耐えられるかを確かめる方法です。いわば、家じゅうの部材に一本ずつ健康診断をするようなもの。同じ「耐震等級3」の家でも、この方法で確かめているかどうかで、中身の確かさが変わってきます。

私が構造のルールにこだわる理由


少し自己紹介をさせてください。私は一級建築士の資格を持ち、大工として現場の墨出し(建物の基準となる線を出す作業)も自分でやります。設計する立場として、木造住宅でも最低限守るべき構造のルールがある、と考えています。

学生時代、先生からは「木造は自由に作ることができる」と言われて学んできました。たしかに木造は間取りの自由度が高く、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べても自由に見えます。けれど今振り返ると、自由に見えていたのは、最低限の構造ルールが表からは見えにくい場所に隠れていただけだったのだと思います。

その「隠れていたルール」を正面から学び直すきっかけをくれたのが、株式会社M's設計の佐藤実先生が主催する「構造塾」でした。ここで学び始めてから、当社では自社で最低限守るルールを定め、一棟一棟、許容応力度計算を行うようにしています。いつ起こるかわからない大地震が来ても、崩壊しない家をつくる。設計する以上、そこは譲れない一線です。

建築基準法の耐震基準は「最低限」のラインです


まず土台になるのが建築基準法です。家を建てるうえで、必ず守らなければならない、いちばん基本のルールです。耐震に関わる部分は、大きく3つの時期で変わってきました。

1981年6月~ いわゆる「新耐震基準」です。震度6強〜7程度の大地震でも、倒壊・崩壊しないことを目標にしています。

2000年6月~木造住宅について、地盤に応じた基礎、柱や筋かいの接合金物、壁の配置バランスなどが明確になりました。

2025年4月~いわゆる「4号特例」が縮小され、多くの木造2階建て住宅でも構造の審査が行われるようになりました。あわせて、必要な壁の量の基準も見直されています。

ここで知っておいていただきたいのは、建築基準法は「命を守るための最低限の基準」だということです。「倒壊しない」ことが目標であって、「地震のあとも住み続けられる」ことまでは約束していません。

その上のもう一段の物差しが「耐震等級」です


建築基準法の上に、もう一段の物差しがあります。2000年に始まった住宅性能表示制度です。住宅の性能を共通の基準で評価し、等級で表す仕組みで、その中のひとつが「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」です。

耐震等級は3段階です。耐震等級1は建築基準法と同じレベル、等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の地震力に耐える、という関係になります。「等級3=基準法の1.5倍の強さ」と覚えていただければ十分です。消防署や警察署など、災害時の拠点になる建物に求められる水準とほぼ同じ、とされています。

ただし、等級は「倒壊・崩壊を防ぐ」ための指標です。数字が大きいほど安心、という単純な話ではなく、何を、どこまで確かめているのかをあわせて見る必要があります。

セミナーで改めて感じたのは、こうした共通の物差しがあることの価値です。設計者も、施工者も、審査する側も、そしてお施主さんも、同じ言葉で「この家はどのくらい強いのか」を話せる。これがあるから、家の強さを約束できるのだと思います。

次回は「同じ等級3でも中身が違う」という話です


次回は、今回いちばんお伝えしたい「確かめ方」に入ります。同じ「耐震等級3」でも、確かめ方がひとつではないこと。そして当社がなぜ許容応力度計算にこだわるのか、数字の裏にある設計の考え方、家を建てる前に確認してほしいことを書きます。

一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜
深健工舎/大工工務店2代目・一級建築士
構造塾で木構造の耐震性を学ぶ
群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市・玉村町・高崎市・渋川市・北群馬郡で対応しています。
根拠のある提案と、誠実な対応をお約束します。

参考資料
・国土交通省|住宅・建築物の耐震化について
 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000043.html
・国土交通省|新築住宅の性能表示制度 かんたんガイド(耐震等級)
 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001970909.pdf
・国土交通省|建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し(4号特例)
 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/r4kaisei_kijunhou0001.html
・国土交通省|木造建築物における必要な壁量等の基準の見直し
 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000166.html
・公益財団法人 日本住宅・木材技術センター|木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2025年版)
 https://www.howtec.or.jp/smarts/index/294/

※本コラムの参考情報は2026年10月時点の各公式サイトの記載に基づきます。法令・制度は改正されることがありますので、最新は国土交通省やお住まいの自治体の公式情報でご確認ください。

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深澤一喜
専門家

深澤一喜(建設業)

深健工舎

「断熱性能」「気密性能」「耐震等級」に独自の基準を設け、省エネや耐震を考えた家を設計。できるだけ自然素材を用い、化学物質過敏症などに悩む方に寄り添った家づくりを提案しています。

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