第3回 大工が見ている災害の備え 全5回
台風のあとに来る訪問業者にご注意ください|「保険で無料」と最初に言う会社
深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜です。群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市、玉村町、高崎市、渋川市、北群馬郡で、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の家を、新築・リノベーション・リフォーム工事で手掛けています。設計事務所を併設した、心地よい快適な大工工務店です。
自然災害への備え、第4回は、このシリーズでいちばんお伝えしたいことです。台風が過ぎた翌日から数日、訪問業者が回ってきます。毎年のことです。
そして毎年、同じ相談が公的な窓口に寄せられています。
実際に寄せられている相談
国民生活センターが公開している相談事例から、いくつか挙げます。
・台風の後片づけをしていたら業者が来訪し、「損害保険を使って無料で雨どい修理ができる、経年劣化で壊れたものも保険でできる」と言われた
・台風で屋根瓦がずれ、見積もりのつもりで業者を呼んだら、屋根にビニールシートをかけられ、高額な作業料金を提示された
・「屋根の無料点検」の後、このまま放置すると雨漏りすると言われ、高額な契約をさせられた
・地震後に「屋根の点検をする」と訪問を受けて契約し、解約したら契約前のブルーシート設置代金を請求された
群馬県も同じ趣旨の注意喚起を出しており、「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」と勧誘する手口について、県内でも相談が寄せられているとのことです。
公的機関のアドバイス
国民生活センターのアドバイスは、はっきりしています。
・修理工事の契約は慎重に。その場では決めず、できれば複数社から見積もりを取って比較する
・「保険金で自己負担なく修理できる」と勧誘されても、まず加入先の保険会社や代理店に相談する
・経年劣化と知りながら自然災害の損傷として申請するなど、うその理由で保険金を請求することは絶対にしない
・契約後でも、クーリング・オフができる場合がある
・困ったときは、消費生活センター等(消費者ホットライン 188)へ
カズからのお願い――3つだけ
1.「保険で無料になります」と最初に言う会社に、家を触らせないでください。保険がいくら出るかは、契約内容と被害の原因を保険会社が判断することです。
工事業者が約束できるものではありません。約束できないことを約束する会社は、工事の中身でも同じことをします。
2.保険の請求は、ご自身でできます。加入先の保険会社か代理店に電話すれば、手続きを案内してくれます。「申請サポート」に手数料を払う必要はありません。業者より先に、まずそこへ連絡してください。
3.経年劣化を災害のせいにする話に、乗らないでください。**それは施主の側が不正請求の当事者になる行為です。私たちはその仕事をしません。断ります。
玄関先での3つの対応
台風の時期に限らず、「外壁や屋根に不具合があります。このままでは雨漏りの原因になります」と声をかけ、無料診断から高額な修理代金を請求するケースが増えています。
・初めて会った知らない人を、家の中に入れない。屋根に上がらせない。
・その場で無料診断を頼まない。
・連絡先だけ聞いて「家族と相談して、必要ならこちらから連絡します」と伝える。
前回書いたとおり、「県の依頼で来ました」「市の点検です」と公的な名前を出す人には、まず役所に確認してください。
最初に会う工事業者を、運任せにしない
私はこれを、同業を批判するために書いているのではありません。台風の翌日に困っている方が、最初に会う工事業者が誰になるか――それが運任せになっている現状を、書いておきたいのです。
家のことが心配になったら、家を建てた工務店やハウスメーカー、または地元の工務店に相談してください。家の履歴を知っている会社なら、本当に今直すべきかを冷静に判断できます。工事の内容によっては、市町村の補助金が使えるものもあります。近所で長くやっている工務店に、先に電話してください。それが当社でなくても構いません。
次回は最終回、まとめです。


