第2回 住宅省エネキャンペーン2026 全3回
なぜ国は、個人の家のリフォームにお金を出すのか|省エネキャンペーン2026の読み方
深健工舎の一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜です。群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市、玉村町、高崎市、北群馬郡で、自然素材を使った高気密・高断熱・高耐震の家を、新築・リノベーション・リフォーム工事で手掛けています。設計事務所を併設した、大工工務店です。
今回から3回に分けて、「住宅省エネ2026キャンペーン」の話を書きます。第1回は、制度の全体像と、なぜ国がこれだけの予算を住宅に投じているのかです。
「なぜ国が、個人の家にお金を出すんですか」
ご相談の席で、何度か聞かれた質問です。もっともだと思います。
大きな理由は、住宅で使うエネルギーを減らすためです。日本では、冷暖房・給湯・照明など、毎日の暮らしの中で多くのエネルギーを使っています。とくに築年数の経った住宅は、窓や壁から熱が出入りしやすく、冷暖房を使っても「夏は暑い」「冬は寒い」と感じやすい。エネルギーを使っているのに、快適になっていない状態です。
そこを直すと、いくつかのことが同時に起きます。光熱費の負担が減る。夏の暑さと冬の寒さがやわらぐ。ヒートショックなど温度差による健康リスクが減る。CO2の排出が減る。そして、将来にわたって住み続けられる住宅が増える。
つまり省エネリフォームは、環境のためだけの工事ではありません。毎月の光熱費、住まいの快適さ、ご家族の健康に、そのままつながっています。国が予算を投じているのは、一軒ずつの効果が積み上がると国全体の数字が動くからです。
国の目的とご家庭の利益が、めずらしく同じ方向を向いている分野だと思っています。
4つの事業で構成されています
「住宅省エネ2026キャンペーン」は、新築とリフォームを対象にした4つの補助事業をまとめた総称です。リフォーム向けの内訳は、次のようになっています。
先進的窓リノベ2026事業(環境省・予算1,125億円)――内窓設置、ガラス交換、外窓交換など、窓の断熱改修が対象です。(非住宅も1部可)
みらいエコ住宅2026事業(国土交通省・予算300億円)――床・壁・天井の断熱改修を含む、幅広いリフォーム工事が対象です。新築も扱います。
給湯省エネ2026事業(経済産業省・予算570億円)――エコキュート、ハイブリッド給湯機、エネファームなど、高効率給湯器が対象です。
賃貸集合給湯省エネ2026事業(経済産業省・予算35億円)――賃貸集合住宅の給湯器が対象です。
この予算額は事業全体の規模であって、1軒あたりに出る金額ではありません。数字は2026年9月24日時点の公式サイトの記載です。
ここで注目していただきたいのは、窓の1,125億円が突出していることです。国が一番お金を出している場所が、その家で一番熱が逃げている場所とだいたい一致しています。壁には断熱材が入っていますが、窓には入っていません。ガラスとサッシ(窓枠)だけです。予算配分は、その事実をそのまま反映しています。
大事な点を3つ
ひとつ目。対象は広い。リフォームについては、一部の新築を除き、子育て世帯に限らずすべての世帯が対象です。「うちは子育て世帯じゃないから」と諦めていた方は、確認する価値があります。
二つ目。申請するのはお客さまではありません。この制度は、お客さまと契約した住宅事業者が、交付申請の手続きを行い、補助金を受け取ってお客さまに還元する仕組みです。施主が直接申請する制度ではありません。ですので、工事をお願いする会社が登録事業者かどうかを、ご検討の段階で確認してください。登録していない会社に頼むと、どれだけ対象の工事をしても補助は受けられません。
三つ目。事業どうしを組み合わせて使えます。窓の工事は窓リノベ、給湯器は給湯省エネ、というように、工事の中身ごとに別々の事業を使います。併用を前提にした規定もあり、みらいエコ住宅2026事業では、他の事業で交付決定を受けている場合、申請額の下限が5万円から2万円に緩和されます。
それでも、順番を間違えないでください
ここまで制度の話をしておいて矛盾するようですが、補助金があるから工事をする、という順番を私はお勧めしません。
何度か、こういうご相談を受けました。「補助対象だと言われたので給湯器を替えたけれど、家の寒さは変わらなかった」。当然です。その家で先に直すべきは窓だったからです。給湯器はお湯のエネルギーの話、窓は家から逃げる熱の話で、別々の問題です。
制度は、やるべき工事の背中を押してくれるものです。やるべきことを決めるのは制度ではなく、その家の状態です。順番を決めてから、使える制度を当てはめる。逆にすると、お金をかけたのに体感が変わりません。
そしてもうひとつ。工事の前に、お金のかからない対策があります。冬の温度差でお困りなら、入浴の20〜30分前に脱衣所の暖房を入れる、湯温は41度以下で10分まで。ここまでは費用がかかりません。それでも寒さが残るなら、そこではじめて工事の出番です。設備を売る前に、お金のかからない順番からご提案する。これは建築屋としての決意のようなものです。
次回は、もっと具体的な数字の話をします。
補助金には金額の締切と、日付の締切があります。そして日付より先に、予算で終わります。今どれだけ使われているのか、いつまでに動けばいいのかを書きます。
一級建築士大工のカズ こと 深澤一喜
深健工舎/大工工務店2代目・一級建築士
構造塾で木構造の耐震性を学ぶ/木構造マイスター準一級
群馬県前橋市を中心に、伊勢崎市・玉村町・高崎市・北群馬郡で対応しています。
根拠のある提案と、誠実な対応をお約束します。
参考資料
・住宅省エネ2026キャンペーン(公式)
https://jutaku-shoene2026.mlit.go.jp/
・環境省|先進的窓リノベ2026事業
https://window-renovation2026.env.go.jp/
・国土交通省|みらいエコ住宅2026事業
https://mirai-eco2026.mlit.go.jp/
・経済産業省|給湯省エネ2026事業
https://kyutou-shoene2026.meti.go.jp/
※制度内容は2026年9月24日時点の公式サイトの記載に基づきます。要件・補助額・受付状況は変わりますので、最新は公式サイトでご確認ください。


