がんになりやすくする食材となりにくくする食材、がん患者さんの治療効果を高めつつ副作用を抑える食材
季節性のスギ、ヒノキなどによる花粉症や通年のダニ、ハウスダスなどによるアレルギー性鼻炎が気になっている人に朗報です。
まず花粉症の発症メカニズムについて、図で分かりやすく解説いたします。
① 体内に侵入した花粉は抗原として、樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞(APC)にキャッチされます。
② この情報は直ちにナイーブT細胞(Naive CD4+ T cell)に送られます。
③ そうすると、ナイーブT細胞から多数の2型ヘルパーT細胞(Th2)が作られ、活性化します。
④ 2型ヘルパーT細胞は信号伝達物質のインターロイキン-4(IL-4)を介して、この情報をB細胞(B cell)に伝えます。
⑤ そうすると、B細胞から免疫グロブリンE(IgE)という抗体が多数産生されます。
⑥ そして、B細胞から多数のIgE抗体が放出されます。
⑦ IgE抗体が鼻粘膜などに多く存在する肥満細胞(別名:マスト細胞)に結合すると、肥満細胞が肥大化します。
⑧ 肥大化した状態で、外部から新たに(再度)花粉が侵入してくると、肥満細胞のIgE抗体と花粉が結合します。
⑨ そうすると、肥満細胞において、脱顆粒現象、すなわちヒスタミン(Histamine)やロイコトリエン(Leukotrienes)などの化学伝達物質が大量に放出されてしまいます。
⑩ 化学伝達物質のうち、主にヒスタミンがくしゃみ・鼻水や眼のかゆみ・充血などを、ロイコトリエンが鼻づまりなどの花粉症状を引き起こします。
花粉症などによるアレルギー性鼻炎を抑えるロラタジン(商品名:クラリチン)という抗ヒスタミン薬があり、薬局やドラッグストアでも購入できます。
タイのマサート大学によるアレルギー性鼻炎の治療効果に関する生姜とロラタジンの臨床比較試験(BMC Complement Med Ther, 2020, 20(1), 11pages)では、アレルギー性鼻炎の患者さん80名を生姜抽出物0.5g/日を摂る生姜群とロラタジン10mg/日を摂るロラタジン群に分けて、3週間後と6週間後の症状を調べました。
その結果、生姜群は鼻症状や生活の質を改善する点でロラタジンと同等に優れており、しかも眠気・疲労・めまい・便秘などの副作用はロラタジンよりも少ないことが分かりました。
ロラタジンは第2世代の抗ヒスタミン薬であり、この他にフェキソフェナジン塩酸塩(商品名:アレグラ/アレルビ)やエピナスチン塩酸塩(商品名:アレジオン)などがあります。
イランのロレスターン大学による総説(Mol Nutr Food Res, 2024, e2300899)によれば、生姜には抗酸化、抗炎症および免疫調節作用などがあり、ジンゲロールやショウガオールが2型ヘルパーT細胞(Th2)の活性化やインターロイキン-4(IL-4)の放出を抑えて、B細胞や肥満細胞が活性化されないようにするため、生姜は第2世代の抗ヒスタミン薬よりも副作用の心配が少なく、花粉症の症状を医薬品レベルで緩和するのだそうです。
生姜は冬場に流行る感染症の予防、血行不良による冷えの改善、メタボリックシンドローム(内臓肥満・高血圧・高血糖・脂質異常)の予防・改善、痛み(月経困難症・遅発性筋肉痛・変形性関節症・片頭痛)の緩和などにも効果が期待できます。
毎年、花粉症に悩まされる方は、発症前から生姜を常用する習慣をおつけになることをおすすめします。
なお、生姜を手軽に摂りたい方は、生姜粉末がハードカプセルに入った『ウルトラしょうが+温』を食品医学研究所直営のネットショップ『自然豊かな大地の恵み』などにてお求めください。