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ふつうの白いにんにく(Garlic)はスタミナ食材として昔から知られていますが、近頃、黒にんにく(Black garlic/ Aged garlic)なるものも産直やスーパーなどでよく見かけるようになりました。
白にんにくと黒にんにくとでは、主な生理活性成分の含有量が異なるため、当然、表に示すように健康効果も異なっています。
白にんにくは、無臭のアリインと酵素アリイナーゼが別々の場所に存在し、すり潰すなどして細胞構造を壊すと両者が反応して独特の臭いのアリシンを生成します。
アリシンは油の存在下でその多くがスルフィド類(DADS, DATS)に変化するとともに、一部はアホエンにもなります。
つまり、白にんにくの主な生理活性成分はアリシン、スルフィド類およびアホエンです。
アリシンは抗菌・抗ウイルス・抗寄生虫といった病原体を駆逐する作用や免疫細胞の機能を高める作用が強力であるため、各種の感染症やがんの予防に役立ちます。
アリシンはビタミンB1(糖代謝を円滑にする働き)の腸管吸収を高めるため、ビタミンB1が豊富な豚肉などの食材と一緒に摂ると、疲労回復にも役立ちます。
また、アリシンやスルフィド類には、慢性的な炎症と関連した内臓肥満・高血糖・高血圧・脂質異常に対する各効果が認められているため、メタボリックシンドローム全般の予防や改善にも役立ちます。
さらに、100℃以下の低温加熱により、アリシンはアホエンという物質にも変化し、これには強力な抗がん特性が認められています。
なお、白にんにくの一日の摂取目安は、生で1~2片、粉末では2g前後で、一度にたくさん摂ると、胸焼けや胃痛・腹痛および下痢などを起こすので注意が必要です。
一方、黒にんにくは生の白にんにくを高温多湿(70℃, 85%程度)の環境で約1ヶ月間熟成させたもので、この過程で黒く変色し、独特の甘酸っぱい風味と柔らかい食感を持つようになります。
黒にんにくにはアリシンがほとんど含まれなくなり、代わりにS-アリルシステイン(SAC)、S-アリルメルカプトシステイン(SAMC)、アミノ酸類のアルギニンおよび各種ポリフェノールが多く含まれるようになります。
黒にんにくにはアリシンのような抗病原体作用はなくなりますが、強力な抗酸化作用があるので、主に血管機能を改善する働きが強化されます。
たとえば、血流アップによる冷えの改善、血中の悪玉脂質の減少による動脈硬化の予防、血管自体の柔軟化による高血圧の予防などです。
黒にんにくはにんにく特有の強い臭いがほとんどなく、食べやすいのですが、一日あたりの摂取量の目安は生にんにくと同量で、1~2片がよいでしょう。
このように、ふつうの白にんにくと黒にんにくでは健康効果がかなり異なりますので、その効能の違いをよく知った上で、自分にはどちらが適しているかを判断してから適量を摂るようにしてください。
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