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古田昌也

サービス業の視点と職人技術を兼ね備える鈑金塗装修理のプロ

古田昌也(ふるたまさや) / 整備士

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コラム

激しく追突されたプリウス事故修理作業

2017年1月2日 公開 / 2019年6月10日更新

テーマ:くるまのキズへこみコラムはじめました。

コラムカテゴリ:趣味

コラムキーワード: 車の傷・へこみ

東海地方は、いよいよ梅雨入りしジメジメの季節になりました。
特に曇り空や、雨降りの時は事故も起こりやすいです。気を付けてください。

こんにちは 岐阜市の自動車キズ・へこみ・板金(バンキン)塗装修理専門工場
青いカンバンが特徴的な フルタ自動車鈑金 (古田板金) 古田昌也 です。



先日、お客様よりご連絡を頂きました。信号待ちで停車中に後ろの車に激しく追突されました。トヨタのプリウスですが事故修理をお願いします。との内容です。激しく追突されてガラスまで割れ後ろのドアは開きませんし、タイヤもパンクしています。今回は、お客様ご了承のもと事故修理作業を出来る限りご紹介していきたいと思います。



自動車は、各自動車メーカがボディー寸法を作成し、その寸法に合った車を1mm単位で溶接、加工し車の安全と安心を一番に考えて製作します。もし、左右非対称の長さや加工がされていたら、自動車は真直ぐに走りません。必ず、右と左は同じ長さにてあります。鉄の性質上加工に優れていますので、曲げたり、伸ばしたり、縮めたり、好きな形に出来ます。
しかし、写真のように激しく追突された場合などは右側(運転席側)より左側(助手席側)の方が短く縮んで元の形には戻りません。



事故修理専用機械(自動車フレーム修正機)にクルマをセットし、自動車メーカーが製作した寸法図にクルマを治していきます。とは言っても、今回のプリウスは激しく追突されていますのでかなりの時間が必要で作業も難航します。
ある程度、車の寸法が大まかに値が近くなった時点で車を切断していきます。



このようにいつも見ている車の形ではなくなりますよね。車の左クォータパネルをはずしていきますと、このように自動車の骨格が見えてきます。大半が、このクォータパネルを外してキレイに元の形に治りますが、今回は激しく追突されていますので、この骨格も交換していきます。骨格の値が左右対称でmm単位の作業になりますので、これからの作業は繊細と時間が非常に重要です。



骨格の重要な役目は、天井を支えたり、タイヤからの路面衝撃を吸収し衝撃を逃がすことで乗り心地や自動車の操縦性を保ち、安全で安心のために色んな方向からの衝撃や追突による乗員確保に努めています。今回のように、激しく追突された場合などにも十分に発揮しています。



すべての骨格を外して、これからが腕の見せ所です。mm単位、左右対称、高さ、長さ、幅、すべてにおいて誤差±0mmに合わせていきます。追突時に衝撃が色々な方向に追突時の力が逃げまた、色々な衝撃を吸収しているため、すぐには直りません。一つ一つ丹念に調べては計測し、板金しては計測し、との繰り返しを何時間と永遠につ続きます。この作業が後々、完成した時の良し悪しを決める大きな課題です。ですので、慎重な作業を行います。
※この作業は国家車体整備士が資格を取得して触れる作業です。誰でも出来る作業ではありません。



一つ一つ、時間をかけ、完璧に修正作業を施したら、次は、新品パネルの仮付に入ります。パネルを一枚一枚重ね合わせる事で強度を保ち衝撃を吸収するとともに、居住性も確保されます。この作業は思うように事が運びません。なぜなら、一枚一枚のパネルの特性がでて仮付をするときには良いのですが、この次の作業は溶接作業に入るため、溶接時の溶接計算を入れながら仮付をしなくてはいけません。



溶接とは鉄と鉄をくっつける役目をしてくれます。しかも高温で鉄を溶かし、くっつける鉄に溶けた鉄を流し込み冷めたら完了です。この時に、鉄は温めると伸び、冷めると縮む性質です。この特性をつかむ事、ヒヅミ計算が最も重要です。先程の行ったmm単位の作業が、ヒヅミ計算を入れづに溶接すると、車は右側より左側の方が縮んでしまいます。ですので、溶接作業も熟年の技と感が必要になることもあります。



左リヤクォータパネルを取り付け、普段見慣れた形になってきます。いつもガソリンを入れる時や洗車時に触る部分です。このパネルがキレイに取り付けば完璧なボディーが±0の誤差でお客様に安心で安全な車をご提供できます。この後は、テールランプや、バンパーなどを仮付し美観とのズレや細かな部分をチェックしていきます。私が納得いかない部分は納得のいくところまでキレイにしていきます。



ドアがしっかりと閉まるか、雨漏れはしないか、などの最終点検を完了したのちに錆び止めを塗布して塗装工程に移動します。自動車の塗装は多くが油性塗装と言われるシンナー系の溶剤塗料でした。しかし2007年1月の法規制によりヨーロッパでは溶剤型塗料の使用は禁止され、水性塗料に置き換わりました。今後、国内でも溶剤型塗料の使用に制限が加えられ、将来、水性塗料に変わるときがくるでしょう。



こうして、車はキレイに元の形に復元しお客様の安心と安全をご提供いたします。いまだに鈑金塗装業界は昔からの職人気質の業界でありサービス業というより、工場での生産業や修理工といった風土が根強く残っています。これはディーラーも同じ事です。
そんな風土を作りかえる事がフルタの役割と感じています。フルタはお客様に対して、板金塗装修理という、サービスを提供しています。それはレストランやスーパーなどに家族やカップルが集い、笑顔が生まれるように、車も「愛車」と呼ばれ、オーナーから愛される存在です。家族の一員で有り、暮らしの一部でもある車を守ることは、単なる技術論だけではない、心を配る必要のある大切な仕事だと考えています。

そのような取り組みに中で必然的に「お客様に納得して満足していただけるサービス」を追求する義務が生じてきます。板金塗装修理という突発的な出費を極力抑えるにはどうするべきか?愛車の傷ついた姿に肩を落とすお客様にどう安心を与えるのか?修理というサービスの質をあげることで、故障前と変わらない車を再びお客様の所へお届けする努力こそが大事だと思っています。

この記事を書いたプロ

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