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佐藤昌徳

空き地、空き家の売却からお片付けまで、不動産のプロ

佐藤昌徳(さとうまさのり) / 不動産業

株式会社ビーティーアール

コラム

事例Ⅰ 農地を含む調区内の数々の問題があった線引き前からの宅地

2024年1月19日 公開 / 2024年1月31日更新

テーマ:相続問題、空き家問題

コラムカテゴリ:住宅・建物

1.宅地に隣接して農地(畑)がありました

①農地の売買

この対象不動産は、宅地に隣接して畑がある土地でした。
農地の売買は農地法による制限があります。旧来は一定の面積以上の農地を耕作している農家でなければ農地を買うことができないという農地の権利取得に係る許可要件としての下限面積要件がありました。

②農地売買の下限面積要件が撤廃されました

しかし、令和5年4月に農地の権利取得に係る許可要件が見直され、下限面積要件が撤廃されました。
媒介契約した令和5年1月の時点では下限面積制限がありましたが、これにより、非農家でも耕作目的であれば農地を購入することが可能になったことから、今回売買を行うことが出来ました。


2.線引き前からの宅地の一部が現況道路の一部でした

①一部が道路敷では融資が困難

以前に敷地の一部が道路の側溝になっている土地の売買を仲介したことがありました。この時は売買後買主から行政が分筆し寄付を受けることで、銀行融資が通っていたので、今回も可能だろうと考えました。しかし、今回融資を受ける金融機関は、道路敷を分筆し行政に寄付した後でなければ、融資を実行できないとの回答でした。

②道路敷の分筆と寄付

行政に相談したところ、行政が分筆の費用負担をし土地の寄付を受けることは問題ない。但し、分筆するための測量は入札により測量業者を決定することになるので時間がかかりますということでした。
結局、業者決定とその後の測量で約4ヶ月の時間を要しましたが、無事行政に寄付でき、融資を受けることが出来ました。

3.線引き前の宅地だけでは接道義務を満たしていない

①接道義務とは
建築物を建てる時には、敷地の間口が2m以上、前面道路(幅員4m以上)に接していなければならないという「接道義務」を満たす必要があります。対象不動産のうち線引き前からの宅地部分の道路に接道している間口が約1.5mしかありませんでした。
しかし、対象不動産の上に建っていた建物は、昭和40年頃(線引き前)に建てられた後、昭和50年以降(線引き後)に隣接している道路側の農地を露天駐車場及び庭として宅地に地目変更し、建築確認を取って増築されていました。従って、増築時には接道義務を満たしているとして建築確認が下りたのに、今回は接道義務を満たしていないという指摘は驚きでした。

②接道義務を満たすために

接道義務を満たさないということは建物を建築できないということになってしまいます。接道義務を満たさないと行政に言われてしまえば、もう何とか接道義務を満たすしか方法がありません。
行政に相談したところ、敷地を30㎡以内であれば拡張することができるという話を貰いました。検討してみると接道部に隣接した部分を約2.5m、約30㎡を分筆すれば接道義務を果たすことができるので、この部分を分筆することで、接道義務違反を回避することになりました。
分筆をお願いした土地家屋調査士は道路部分の測量業者と連絡を取りながら作業を進めて貰い、出来るだけ安くしていただきましたが、余計な費用が掛かってしまいました。

このように多くの問題があった土地でしたが、当初の相談から約1年で無事売却することが出来ました。
もう一つの事例は後日報告いたします。

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