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コラム

相続対策という名のセールス

2023年3月30日

テーマ:遺言書

コラムカテゴリ:お金・保険

コンサルティングの現場でつくづく感じるのが、
相続対策という名のセールス」の広がりです。

「相続税の節税になります」は、もちろん嘘ではないのですが、
残念ながら、その手の節税対策の「商品売り」がいかに薄っぺらく無責任であるかという
ことが相続の現場でよく分かります。

そもそも、全体の財産を知らずに、そしてその財産を
「誰に」「何を」「どのくらい」相続させるのかに踏み込んでいない提案はほぼ役に立たないと思った方がいいです。

ひどい場合は、
勝手に提案書に法定相続分(遺言書が無かった場合に、法律上、相続の権利を持つ人とその割合分のこと)で分けた前提で
提案してきたりします。

節税にしても、「今」の節税だけであって、これから増減していく財産に関しても無視している提案が多すぎます。

「お持ちの土地にアパートを建てませんか?」
   「生命保険に入りませんか?」
「お墓も買っておきませんか?
」・・・・など。

私自身、賃貸アパートのオーナーであり、生命保険を良く知るプロであり、
お墓を建てた人間なのではっきり言いますが、単なる相続税の節税が目的ならやらない方がいいです。

「節税のためにアパートを建てるならやめた方がいい」
「節税のための生命保険なら入らない方がいい」
「節税のためのお墓建立はやめた方がいい」

本当にその方を思う真の相続対策をするコンサルタントならば、
「遺産分け」の話をしっかり決めなければ提案はできません。

言い換えれば、全ての財産と遺産分けについて明確になっていないまま
提案をしてくる人は、ノルマ達成が目的の単なるセールスです。

「借金して建てたアパートの返済とその経営は誰が引き継ぐのですか?
 それは引き継ぐ者も望んでいたことですか?」

「生命保険の受取人は、他の財産の行き先とバランスをとって、また使い道を決めて金額を決めていますか?」

「わざわざ建てたお墓が、将来、墓守り役を苦しめませんか?」

世の中「相続対策をうたう単なるセールス」が多いのは、
もし、遺産分けという土俵からスタートしてしまうと、ハードルがあり、
売りたいものが売りたいタイミングで売れず、時間がかかってしまうからです。

また、そこまでの相続の知識も無いまま営業しているという現実もあります。

金融機関、保険会社、FP、墓石業、アパート建築業などの
相続対策をうたう業界には
「目先のメリットだけを重視した短絡的な相続対策の提案はやめましょう」と言いたい。

その家ごとに家族構成も財産額も環境も考え方も問題もすべて違うはずなのに、
その商品の特性だけを持ち込み、どの家にも同じような提案をするということがナンセンス。

そして、お客さんには、真の対策ができるのかどうか
見きわめる目を持ってほしいです。

この記事を書いたプロ

長谷川健

老後と相続の問題解決コンサルティングのプロ

長谷川健(株式会社ハセプロ)

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