今2025年、不登校が過去最多になった本当の理由――子どもたちの脳は何を訴えているのか

山崎憲治

山崎憲治

テーマ:子育て

【2025年の終わりに】
今年、不登校が過去最多になった本当の理由――子どもたちの脳は何を訴えているのか


――行き渋り・不登校の子とご家族へ。来年へ希望の火を灯すために

2025年。
日本では「不登校児童生徒数」が過去最多を更新しました。

ニュースや統計では
「◯万人」「過去最高」という“数字”で語られます。

しかし、私は考えていました。

その一人ひとりに
必ず、理由がある。
必ず、物語がある。

今日は、今年最後の日だからこそ、
不登校・行き渋りで苦しんだ子どもたちと、
そのそばで悩み続けたご家族に向けて、
**脳科学の視点から“希望の整理”**をお伝えします。



脳の中で、実際に何が起きているのか?

① 不登校の正体は「サボり」ではありません

不登校の子どもの脳では、次のような状態が続いています。
• 強い不安
• 失敗体験の蓄積
• 常に緊張が抜けない状態

その結果、脳の中では――
• **扁桃体(不安・恐怖を感じる部位)**が過活動
• **前頭前野(考える・判断する部位)**がブレーキ状態


行きたくないのではありません。
「行こうとすると、脳が止まってしまう」

これが、不登校の正体です。



②脳が「学校=危険」と学習してしまった結果

子どもの脳は、とても正直です。
• 怒られた
• 恥をかいた
• 失敗を繰り返した
• 比較され続けた
• その他諸々



こうした経験が重なると、脳は結論を出します。

「ここは、安全じゃない」

すると身体には、
• 心拍数の上昇
• 腹痛
• 頭が真っ白になる感覚

が現れます。

これは防衛反応。
逃げているのではなく、
必死に自分を守っている状態です。



親が一番やってしまいがちな“逆効果の言葉”


つらい中で、つい口にしてしまう言葉があります。
• 「甘えているだけじゃない?」
• 「気合いが足りない」
• 「みんな行ってるよ」

しかし、これらの言葉はすべて
脳の安全装置を、さらに強くしてしまうのです。


「行けない自分はダメなんだ」
という自己否定回路が、脳に刻まれてしまう。

親御さんが悪いわけではありません。
知らなかっただけなのです。



回復の第一歩は「学校に戻すこと」ではありません

不登校から回復する“本当の順番”は、これです。

1安心できる環境
2脳の緊張を下げる
3「できた」という感覚を取り戻す
4そのあとに「学び」「学校」


いきなり①〜③を飛ばして④に戻そうとすると、
必ず逆戻りします。

これは心の問題ではなく、
脳の回復プロセスだからです。



なぜ「体を動かすこと」が回復の鍵になるのか?

理由は、とてもシンプルです。
• 動く
• 投げる
• 避ける
• タイミングを合わせる

こうした動きは――
• 扁桃体の過活動を鎮め
• 小脳を活性化し
• 前頭前野を“後追い”で再起動させる


考えさせる前に、感じさせる。
注意する前に、動かす。

これが、脳科学が示す
回復への最短ルートです。



親御さんへ、いちばん伝えたいこと

どうか、これだけは忘れないでください。

あなたの子は、壊れていません。
止まっているだけです。
スイッチがオフになっているだけです。

そして、そのスイッチは――
正しい順番で、必ず入ります。



年の終わりに、心に残してほしい一文


不登校は、失敗ではありません。
「これ以上、無理をさせないで」という
脳からのSOSです。

2026年は、
「無理をさせる年」ではなく
**「回復を信じる年」**にしていきましょう。

あなたと、あなたの子どもの未来には、
まだ十分すぎるほどの時間があります。

今年も本当に、お疲れさまでした。
そして――
希望は、ここからです。

参考図書資料一覧

• 『脳が変わる生き方 ― 神経可塑性の力』/ノーマン・ドイジ
• 『脳を鍛えるには運動しかない!』/ジョン・J・レイティ
• 『スマホ脳』/アンデシュ・ハンセン
• 『実行機能 ― 前頭前野が切り拓く人間の知性』/アデル・ダイアモンド
• 『発達する心 ― 子どもの脳と心の発達』/ダニエル・J・シーゲル
• 『ノー・ドラマ・ディシプリン』/ダニエル・J・シーゲル/ティナ・ペイン・ブライソン
• 『子どもの脳はどのように発達するのか』/スタンレー・I・グリーンスパン
• 『発達障害もどき』/成田奈緒子
• 『感情コントロールの発達心理学』/大河原美以
• 『ポリヴェーガル理論入門』/スティーブン・W・ポージェス
• 『なぜシマウマは胃潰瘍にならないのか ― ストレスと脳・身体』/ロバート・M・サポルスキー
• 『学習性無力感』/マーティン・E・P・セリグマン
• 『神経発達順序に基づく治療モデル(NMT)』/ブルース・D・ペリー
• 『犬として育てられた少年』/ブルース・D・ペリー
• 『ブレイン・ルール・フォー・ベビー(赤ちゃんの脳を育てる)』/ジョン・メディナ

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山崎憲治
専門家

山崎憲治(教育アドバイザー)

firstball

独自開発の運動プログラムや学習プログラムで運動能力を伸し、やる気や集中力、脳の認知機能(理解・判断・記憶・思考等)を高めて学習することで学力も向上する文武両道実現。心身共に子どもの健やかな成長を育む。

山崎憲治プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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